SDGsGoal10(人や国の不平等をなくそう)国連事務総長のラマダン連帯訪問、ロヒンギャ難民に希望を取り戻す

国連事務総長のラマダン連帯訪問、ロヒンギャ難民に希望を取り戻す

【コックスバザールIPS=ラフィクル・イスラム】

国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、イスラム教徒の伝統衣装である白いパンジャビ姿でロヒンギャ難民のイフタール(断食明けの食事会)に出席するため、ウキヤ難民キャンプに現れたとき、集まった何千人ものロヒンギャ難民が手を振って歓迎した。

ラマダンという神聖な月に断食をしていた多くのロヒンギャの人々は、長年にわたる苦しみに対するグテーレス事務総長の連帯に胸を打たれ、涙を流す姿も見られた。

グテーレス事務総長は、バングラデシュのムハンマド・ユヌス首席顧問とともに、同国コックスバザールの難民キャンプでロヒンギャの人々との連帯を示すため、何千人もの難民とともにイフタールに参加した。

Location of Bangladesh
Location of Bangladesh

「私たち全員が、国連事務総長から『ミャンマーへの帰還』という良い知らせを聞くためにイフタールに来ました。誰もがふるさとに帰りたいと願っています」と、ロヒンギャの若者、ロ・アルファット・カーンさんはIPSの取材に対して語った。

イフタールに先立ち、グテーレス事務総長はウキヤキャンプ内の学習センターを訪れ、ロヒンギャの子どもたちと意見交換をった行った。子どもたちは「ミャンマーに戻りたい」と訴え、安全で尊厳ある帰還を実現してほしいと要望した。

グテーレス氏はまた、ロヒンギャ女性や宗教指導者、文化センターも訪れ、追放された人々の声に耳を傾けた。

今回のラマダン訪問で、ロヒンギャから寄せられた二つの明確なメッセージを受け取ったとグテーレス氏は語った。それは、「ミャンマーへの帰還」と「キャンプの生活環境の改善」だ。

彼は国際社会に対し、ミャンマーにおける平和の回復、そしてロヒンギャに対する差別と迫害を終わらせるために全力を尽くすよう求めた。

国連世界食糧計画(WFP)は、緊急支援への深刻な資金不足のため、4月1日からロヒンギャ難民一人当たりの月額食糧配給額を12.50ドルから6ドルに半減すると発表した。

「残念ながら、米国や欧州諸国など複数の国が人道支援を大幅に削減すると発表した。そのため、このキャンプでも食糧配給の削減というリスクに直面している。」とグテーレス氏は語った。

彼は、ロヒンギャの人々がさらに苦しむ状況、あるいは命の危機にさらされる事態を防ぐため、国連として資金の動員に努め続けると約束した。

「率直に言えば、私たちは深刻な人道危機の瀬戸際にあります。複数国による資金援助の削減により、ロヒンギャ難民の食糧配給量は2025年には40%にまで削減される恐れがあるのです。」と語った。

彼は、支援の削減により「未然に防げる災害」が起こりうると警告し、国際社会に対してロヒンギャ難民支援に投資する義務があると訴えた。

「国際社会がロヒンギャ難民への支援を削減するのは容認できないことです。コックスバザールは、予算削減が命を左右する“最前線”であり、私たちはそれを防がなければならない。」とグテーレス氏は強調した。

グテーレス氏によれば、2017年に暴力を逃れてバングラデシュに避難してきた100万人以上のロヒンギャは、極めて困難な状況の中でもたくましく生きている。

ロヒンギャ難民は、ラカイン州での虐殺や差別、人権侵害から逃れ、「保護」「尊厳」「家族の安全」を求めてこの地にたどり着いた。

Thousands of Rohingya refugees turned up to the solidarity iftar, where UN secretary-general António Guterres and Bangladesh Chief Adviser Professor Muhammad Yunus pledged to continue to find a solution to their plight. Credit: Gazi Sarwar Hossain/PID

グテーレス氏は、ロヒンギャの勇気と決意に感銘を受けたと語り、彼らの壮絶な体験に耳を傾けた。

「彼らが求めているのは、安全で自発的かつ尊厳ある帰還です。それがこの危機の根本的な解決策です。」と強調した。

彼はミャンマー当局に対して、国際人道法に基づいた措置を講じ、宗教間の緊張や暴力を防ぎ、ロヒンギャの安全で尊厳ある帰還を可能にする環境づくりを求めた。

「しかし、ミャンマー、特にラカイン州の状況はいまだに深刻です。紛争と迫害が終わるまで、私たちはバングラデシュで保護を必要とする人々を支え続けなければなりません。」と語った。

「解決策はミャンマーの中にあります。国連は今後も、ロヒンギャ難民の自発的で安全かつ持続可能な帰還に向けた努力を続けます。その時が来るまで、国際社会に支援を減らさないよう強く訴えます。」と語った。

イフタールの後、バングラデシュのユヌス首席顧問は現地の方言でスピーチを行い、ロヒンギャ難民に強い連帯のメッセージを届けました。

「国連事務総長はロヒンギャの苦しみを終わらせるために来てくださいました。今年のイードではなくても、来年こそは祖国で祝えることを願っています。」と語った。

「必要であれば、世界を相手にしてでも、ロヒンギャを故郷へ戻すために戦うつもりです。」とも語った。

2017年にコックスバザールのキャンプに逃れてきたアブドゥル・ラフマンさんは、「金曜日のイフタールには10万人が参加する予定でしたが、実際には30万人以上が集まりました。それだけ皆が“帰還”という良い知らせを求めていたのです。」と語った。

ロ・アルファットさんは、「私たちロヒンギャには国もなく、帰る場所もないため、時に絶望を感じることがあります」と語った。

「でも、国連事務総長とバングラデシュの首席顧問という二人の要人が訪れてくれたことで、“帰還できる”という希望が私たちの心に再び芽生えました。」と締めくくった。(原文へ

INPS Japan/ IPS UN Bureau

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