SDGsGoal13(気候変動に具体的な対策を)国連事務総長とブラジル大統領、パリ協定の誓約再確認へ世界の指導者と会合

国連事務総長とブラジル大統領、パリ協定の誓約再確認へ世界の指導者と会合

【ニューヨークIPS=ナウリーン・ホセイン】

国連のアントニオ・グテーレス事務総長とブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は4月23日、気候危機への世界的な取り組みを強化し、公正なエネルギー転換を推進するため、各国首脳と非公開の会合を開催した。

会合には、主要経済国と気候危機の影響を最も受けている国々の首脳が少数ながら代表的な形で出席。出席者には中国の習近平国家主席、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、ケニアのウィリアム・ルト大統領、マーシャル諸島のヒルダ・ハイネ首相などが名を連ねた。

また、地域を代表するパートナーシップの首脳も出席。アフリカ連合のジョアン・ロウレンソ議長(アンゴラ大統領)、東南アジア諸国連合(ASEAN)議長のアンワル・イブラヒム・マレーシア首相、小島嶼国連合(AOSIS)のスランゲル・ウィップス・パラオ大統領、カリブ共同体(CARICOM)のミア・モットリー・バルバドス首相らが出席した。

グテーレス事務総長は、「世界は多くの危機と逆風に直面しているが、気候変動への誓約が道を外れることは許されない」と強調。「COP30(第30回気候変動枠組条約締約国会議)がブラジルで開催されるのを前に、行動への機運を高め続けることが重要だ。今回の会合はその一環だ」と語った。

国連高官によると、この会合は各国首脳が「パリ協定および多国間主義への誓約を再確認」するために行われ、「グローバルな課題にはグローバルな解決策が必要」と指摘した。

今年のCOPは、「気候災害の深刻化と頻発という現実を目の当たりにしている特異な文脈」のもとで開催される。高官はそのように述べ、同時に「再生可能エネルギー革命」にも言及。2024年には世界の電力の40%が再生可能エネルギーから供給されたとし、この分野の雇用市場も拡大傾向にあると述べた。グテーレス氏は再生可能エネルギー産業を「世紀の経済的チャンス」とも呼んでいる。

ブラジル政府関係者によれば、今回の会合はCOP30に向けた国際社会の「支援、行動、野心」の動員の一環であり、特に「実施段階」に重点を置くことを強調。市民が多国間主義を信じられるよう「目に見える行動」が求められていると述べた。

今年はパリ協定採択から10年の節目。各国は新たな国家気候目標と「国別決定貢献(NDCs)」を発表する予定だ。ブラジルのCOPチームの高官によれば、提出期限は柔軟であるものの、多くの国が9月を目処に準備を進めているという。これまでにNDCを提出した国はごく一部であり、国連の当初の提出期限(2月10日)に間に合ったのは10カ国に過ぎない。

グテーレス氏は、気候にやさしい取り組みの移行を進める一方で、開発途上国への支援の拡充が必要であると強調。「アフリカや他の開発途上地域は世界平均以上の速度で温暖化が進み、太平洋諸島は海面上昇の影響を早くも受けている」と述べた。また、「アフリカには世界の最良の太陽光資源の60%が存在するにもかかわらず、設置されている太陽光発電設備は全体の1.5%にとどまり、再生可能エネルギーへの世界の投資のうち、アフリカが受けているのはわずか2%。」とも指摘した。

グテーレス事務総長はさらに、気候資金の増額、とりわけ適応資金の倍増、および2035年までに年間1.3兆ドルの資金を途上国向けに動員することを再度呼びかけた。(原文へ

INPS Japan/ IPS UN Bureau Report

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