SDGsGoal13(気候変動に具体的な対策を)|COP29|参加者は、人々の安全を真に確保するものについての洞察を気候サミットに求める

|COP29|参加者は、人々の安全を真に確保するものについての洞察を気候サミットに求める

【バクーIPS=ジョイス・チンビ

11月11日から22日にかけてアゼルバイジャンの首都バクーで開催されている「COP29(国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議)」が主に地球温暖化を緩和し、地球上のすべての生命に影響を及ぼす気候変動の深刻な影響を逆転させるためのツールとして気候資金に焦点を当てている中、世界の平和と安定の現状に懸念を抱く代表者たちは、安全を強化する方法を模索している。

創価学会インタナショナル(SGI)とSGI-UK、英国クエーカー、クエーカー・アースケア・ウィットネス、友会徒世界諮問委員会(クエーカー)、女性国際平和自由連盟(WILPF)によって開催されたサイドイベントでは、気候行動のアプローチが人々と地球にとってより安全な世界を構築するのにどう寄与するのか、あるいはより危険な世界を招くリスクがあるのかという重要な問いが議論された。

「このCOPでは資金拡充の交渉が行われていますが、この部屋にいる主要な化石燃料採掘国のうちコロンビアを除くすべての国が、石油とガスの採掘を増加させています。一方で、外では戦争が拡大し、軍事予算は冷戦時代以来最も高い水準に達しています。本当に私たちを安全にするものは何かについて議論するために、さまざまな分野の専門家を招いています。」と、本サイドイベントのモデレーターであるクエーカー国連事務所のリンジー・フィールダー・クック氏は語った。

技術依存のリスクや軍事支出、平和活動家、脆弱国家における気候変動対策の資金調達、さらに自らの生活、信仰、若者との協働について語る専門家が参加した。彼らは、存続が問われるこの時代における平和、気候資金、気候行動について話し合い、人類の活動が種の絶滅や化学汚染を前例のない速度で進行させている現状にも触れた。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の科学的適応、脆弱性、影響の専門家であるアンドリュー・オーケム氏は次のように述べた。「科学は、私たちが社会として実施できる一連の行動を示しており、それらは社会をより良く、より安全にするために貢献できます。例えば、気候に強靭な農業・食品システムの構築があります。その中には、気候に適応した対処法や実践方法を多様化することも含まれます。迅速な脱炭素化は極めて重要であり、化石燃料の段階的廃止や、太陽光、風力、水力といった再生可能エネルギーへの移行が必要です。」

Tackling issues of peace and climate finance amid climate and conflict-driven existential threats. Credit: Joyce Chimbi/IPS
Tackling issues of peace and climate finance amid climate and conflict-driven existential threats. Credit: Joyce Chimbi/IPS

オーケム氏はさらに、自然に基づく解決策、統合的な水資源管理、持続可能な都市、包括的なガバナンスと意思決定の重要性についても言及した。また、「適応と緩和に関する世界的な協調した行動がさらに遅れると、すべての人にとって発展的で持続可能な未来を確保するための、この貴重で急速に閉じつつある機会を逃すことになる」と警鐘 を鳴らした。

平和、文化、教育の分野で社会的に積極的な活動を行っている国際的な草の根仏教団体、創価学会インタナショナル(SGI)国連事務所のルーシー・プラマー氏は、「COP16(生物多様性条約第16回締約国会議)のメッセージをより広く伝えたいと考えています。私たちは自然と調和して生きる必要があります。私は、子どもや若者、平和、気候安全保障に関するグローバルフレームワークに焦点を当てた円卓会議を含め、これまでの議論を注視してきました。」と語った。

気候と平和の相互関係が認識されつつあり、各国政府やその他の主要な利害関係者からこの取り組みに対する大きな支持があることは心強いとしつつも、プラマー氏は「最も重要な問題が全く言及されていない」と指摘した。それは 「私たちが自然と戦争を続けている」という事実だ。「私たちの自然との関係には非常に多くの暴力が含まれており、これは戦争そのものです。私たちは自然に対する考え方を変革し、武装解除する必要があります。」と強調した。

さらに「昨日の平和交渉やCOP29全体で行われているすべての議論の中で、この重要なパズルのピースが欠けています。人類が自然から切り離されていることこそが気候危機の根本原因であり、これを正し、自然と和解しなければ、この危機を解決し、これ以上の苦しみを防ぐために必要な知恵を得ることはできません。先住民たちはこのことを理解しており、毎年COPに参加して私たちにそれを伝えようとしています。彼らのメッセージは変わっていません。彼らは理解していますが、なぜか私たちはそれを受け入れる準備ができていないのか、あるいは聞きたくないのかもしれません。」と警鐘を鳴らした。

UCLAロースクールの研究員であり、技術的解決策や倫理的緩和策の専門家であるダンカン・マクラレン博士は、炭素除去を含むグローバル技術の正義や政治的影響について研究を進めている。最近では、地球工学の地政学や、ネットゼロ目標における炭素除去技術の運用およびガバナンスに焦点を当てた研究を行っている。

「気候の不安定さは至る所に存在しています。私たちは洪水、山火事、干ばつ、嵐を目の当たりにしてきました。明らかに、排出量削減だけでは危険な気候変動を回避することはもはやできません。単に排出量をさらに削減して1.5度の上昇を回避できるというのは、希望的観測に過ぎません。そのため、私は他の技術がどのように機能するかを研究してきました。炭素除去は、気候修復、つまり人類と地球との関係を修復する一助となる可能性があります。」とマクラーレン博士は強調した。

Photo Credit: climate.nasa.gov
Photo Credit: climate.nasa.gov

「炭素除去技術は、頑固な排出量を相殺し、ネットゼロを達成する助けとなります。そしてさらに重要なのは、不公平に蓄積された過剰な排出量の遺産に対処することです。しかし、クエーカー国連事務所のブリーフィングペーパーでコリー教授と私が示したように、これらの技術が私たちを安全にするのは、求められる課題を小規模に保つ場合のみです。排出量は95%削減する必要があります。」

国際アラートのハリエット・マッケイル=ヒル氏は、気候、紛争、資金の問題について言及し、COP29の新規合同数値目標(New Collective Quantified Goal)をこれらの視点から定義する必要性を強調した。彼女は次のように述べている。「気候と紛争の関連性は十分に確立されています。気候が紛争の唯一の原因になることはありませんが、大きなストレス要因であることは間違いありません。気候変動は紛争を引き起こすさまざまなストレス要因を悪化させます。これには、人間の安全保障、食料安全保障、天然資源を巡る競争が含まれ、結果的に紛争を生み出し、悪化させることになります。極度の脆弱性や紛争の中で、また生計や命が危機にさらされている状況で、人々がどのように気候変動の影響に適応できるのでしょうか。」

ティッピングポイント・ノースサウスの共同創設者であるデボラ・バートン氏は、軍事支出と気候資金の関係について論じた。同氏は、軍事支出や軍事行動が人々の安全をどのように脅かしているかに触れ、「平時および戦時における世界的な軍事活動の規模と、それを支える軍事支出の巨大さを理解する必要があります。」と語った。

Picture: French nuclear-powered aircraft carrier Charles de Gaulle and the American nuclear-powered carrier USS Enterprise (left), each of which carry nuclear-capable fighter aircraft. Credit: Wikimedia Commons
Picture: French nuclear-powered aircraft carrier Charles de Gaulle and the American nuclear-powered carrier USS Enterprise (left), each of which carry nuclear-capable fighter aircraft. Credit: Wikimedia Commons

「これらは結局のところ、たった一つの目的しか達成していません。それは、この気候緊急事態において人間の安全を脅かすことです。推定される世界の軍事による炭素排出量は、あくまで推定値ですが、全世界の総排出量の5.5%に達すると見られています。これはアフリカ大陸の54カ国すべての年間排出量の合計を上回り、民間航空の排出量の2倍に相当します。この推定には、紛争に関連する排出量は含まれていません。」

シリーヌ・ジュルディ氏は、レバノンでの自身の経験を通じて気候資金との関連性について語り、「戦争中に気候正義は存在せず、戦争中に生態系の正義も存在しません。爆弾が落ちるたびに、大地も海も人々も取り返しのつかない被害を受けています」と語った。

また「安全とは単に生き延びることや破壊を避けることだけではありません。青空の下、平和の中で人々が繁栄することが真の安全です。その空が煙や白リン弾で覆われていてはなりません。より安全な世界を実現するためには、植民地主義を終わらせ、破壊に費やされている資源を持続可能で生産的なコミュニティの構築に転換する必要があります。生態系の平和構築に投資し、紛争で傷ついた土地や生態系を回復させることが重要です。」と力強く訴え た。(原文へ

This article is brought to you by IPS Noram in collaboration with INPS Japan and Soka Gakkai International in consultative status with ECOSOC.

INPS Japan/IPS UN Bureau

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