【コロンボIPS=パリサ・コホナ】
国連は現在、米国という最大の資金提供国から強い圧力を受け、再び改革の取り組みを進めている。今回は、ドナルド・トランプ米大統領が従来よりもはるかに強硬な姿勢を示しており、米国の拠出金の削減や国連の経費節減をさらに求める決意を明らかにしている。他の一部のドナー国も、表立っては態度を示さないものの、裏では米国の動きを歓迎している。
米国は国内の支持者たちの喝采を受けつつ、その姿勢を具体的な行動でも示している。すでに国連人権理事会(UNHRC)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)、世界保健機関(WHO)からの脱退を表明。また、パリ協定からも離脱している。
過去にも米国は拠出金の支払いを停止し、そのたびに当時のコフィ・アナン事務総長や潘基文事務総長が改革の取り組みを行った経緯がある。かつて国連の創設において主導的役割を果たした米国が、今やこうした冷徹な姿勢に転じたことは、世界の理想主義がどれほど変化してしまったかを物語っている。
国連は、米国が資金支払いを停止するたびに改革の「儀式」を繰り返してきたが、それは主に米国で共和党が政権を握った際に起こってきた。私自身が国連勤務時代に目にしたところでは、多くの国連上級職員は「どうせそのうち米国は拠出金を払うだろう」と皮肉まじりに構えており、この改革の儀式自体に冷淡な態度を取っていた。
しかし今回に限っては、もしトランプ政権が予告通り資金削減に踏み切るのを防ぎたいのであれば、より本格的な改革が求められるだろう。とはいえ、多くの関係者が認めるように、国連は組織内部、政治機関の両面で改革を必要としているのは事実だ。
安心材料としては、米国がなお国連への関与を維持していることである。ドロシー・シェイ米国連代理常駐代表は次のように述べている。
「国連は、国際平和と安全の維持、武力紛争の原因への対処といった複雑な国際課題の解決に不可欠な存在であり続けています。国連はその本来の目的に立ち返るべきであり、事務総長はその取り組みを率いるべき立場にあります。」
また、各国政府が財政逼迫と優先順位の見直しに直面している今こそ、国連は中核的使命の効果的な遂行に集中すべきであり、特に各国現場での成果をより重視するべきだとも述べている。
この発言からも、米国が国連から完全に手を引く意図は現時点では見られないが、その要求は非常に明確である──つまり「国連は本来の使命に集中せよ」ということだ。
現在問題視されているのは、国連が年々自らの責任範囲を拡大してきたことである。本来の中核的機能とは異なるが、加盟国の要請により国連の活動範囲は広がってきた。その中には人権や環境問題(特に気候変動)などが含まれている。こうした分野の活動は本来の使命とは異なるとの批判も根強い。
資金不足の問題も深刻だ。2025年4月30日時点で、各国が支払うべき「分担金」の未納額は24億ドルに達しており、そのうち米国は15億ドル、中国は約6億ドル、ロシアは7000万ドル以上を滞納している。さらに平和維持活動(PKO)関連予算も27億ドルの未納がある。2024年には41カ国が分担金未納となった。理論上、分担金を払わなければ国連総会での投票権を失う可能性があるが、これは実効的な抑止策にはなっていない。
こうした中で、グテーレス事務総長は2025年3月、「UN80」と呼ばれる包括的レビューを開始。財政的に厳しい将来を見据え、国連が「時代に適した」組織であり続けるための改革を目指している。
今回の改革の焦点は、過去の事例同様、米国の資金圧力がきっかけではあるが、本来であれば改革は継続的な取り組みでなければならない。国連管理戦略政策コンプライアンス局(DMSPC)や国連総会第5委員会はこの改革に役割を果たしているが、第5委員会は加盟国の政治的圧力を受けやすい。
国連管理職は、単なる技術力にとどまらず、継続的な変革意識と現代的な経営能力を備えている必要がある。また、スタッフのスキル向上や組織の使命へのコミットメントも常に求められる。特に影響力の強い国々から推薦される上級職員については、卓越した管理能力を求め、候補者を複数提示させることも検討すべきだ。
また、現在の会議開催の方法も見直しが可能だ。すべての会議をニューヨークやジュネーブで対面開催する必要はない。これらは開催費用が高く、途上国の代表団には参加の負担が大きい。コロナ禍で行われたようなリモート参加方式を恒常化すれば、コスト削減と公平な参加が期待できる。
さらに、ニューヨークのオフィスをより費用対効果の高い場所に移す案も浮上している。すでにナイロビには国連環境計画(UNEP)やUN Habitatが拠点を構えている。国連海洋関連機関をジャマイカ(大陸棚限界委員会所在地)やボン(気候変動事務局所在地)に移転することも合理的だろう。

ニューヨークに本部を置く国連開発計画(UNDP)や国連児童基金(UNICEF)も、他都市への移転が検討に値する。
加えて、経済社会理事会(ECOSOC)とその下部委員会、総会の第2、第3委員会などの間で活動が重複している分野も多く、こうした重複の整理も不可欠である。
また、事務次長(USG)、事務次長補(ASG)、ディレクター(D)といった高位職の本当に必要なポスト数も見直し、統廃合や削減を行うべきだ。
過去の改革は、多くが中途半端に終わっている。今回こそ徹底した改革を行わなければ、また同じ道をたどる危険性がある。(原文へ)
INPS Japan/ IPS UN Bureau
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