【シャリジャWAM】
「世界中の多数のイスラム教徒がイド・アル=フィトルを祝っている。文字通り、ラマダン月における断食(フィトル)の終わりを祝宴(イド)で祝うこの3日間は、イスラム教徒にとって家族知人が集い、プレゼントを交換し合い、アラーの神に感謝を捧げる重要な祝祭日である。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙が報じた。
一方、ガルフ・ニュースは、「しかし今年の場合、全体的な雰囲気は、シリア内戦の被害者の苦境やイスラエル軍による無慈悲なガザ爆撃の様子、イラクにおける過激派民兵の前進を国際社会がなす術もなく見守る状況の中で、必然的に抑制気味なものとなっている。」と報じた。
「とりわけイスラム教徒が人口の大半を占めるマレーシアでは、7月17日にウクライナ東部で起こったマレーシア航空17便の撃墜事件を受けて、政府当局が通常一般市民に振舞うイドの祝宴をキャンセルするなど自粛ムードが広がっている。同国は、この航空惨事の前にも、同じくマレーシア航空370便が3月に消息を絶った未解決事件を抱えている。」とシャリジャに拠点を置くガルフ・ニュース紙は7月29日付の論説の中で報じた。
「パレスチナ人は引き続き惨禍に見舞われている。ガザ地区のパレスチナ人は、既に3週間に及ぶイスラエル軍による無慈悲な爆撃に晒されるなかで、イド・アル=フィトルを涙と悲しみの中で迎えることとなった。イスラエル軍の侵攻により、167000人以上のパレスチナ人が国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営している青と白に塗られた学校に避難することを余儀なくされている。」と同紙は報じた。
現在ガザ地区には約45000人の妊産婦が保健医療を必要としている実情を考えると、病院や保健施設が破壊されている状況は特に憂慮すべきである。
「ストレスや不安感から、こうした妊産婦の多くが産科合併症に直面する可能性が高い。しかし紛争によって、母子保健サービスへのアクセス確保は、はますます困難になっている。」
「女性、老人、子どもを無差別に攻撃しているイスラエル軍は、引き続き人道に対する罪を犯していると言わざるを得ない。」とガルフ・ニュース紙は報じた。
「また、今日世界で最も人口に占める難民の割合が高い国となっているレバノンは、国内で緊張が高まっており、今後危機はさらに深まるとみられている。同国内のシリア難民の数は、今年末までには全人口の3分の一に当たる150万人に達する見込みである。
「一月に亘って断食をしたイスラム教徒は聖なるラマダン月の期間中にアラーの神から授かった栄光に感謝を捧げています。」
「華やかなイド・アル=フィトルの祝祭日が喜びと希望をもたらす一方で、イスラム世界が直面している多くの苦難に絶望感が広がっている。今日イスラム諸国において、毎日数百人もの人々が根拠のない理由で殺害されている。今こそ、イスラム世界はもとより全ての人類の平和と安定、進歩と幸福のために希望を持って祈り尽力すべきときにきている。」とガルフ・ニュース紙は結論付けた。
翻訳=IPS Japan
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