【スリナガル(インド)/パリIPS=ウマル・マンゾール・シャー】
2030年の持続可能な開発目標(SDGs)達成期限まで残り数年となる中、国連の最新報告書は、経済的不確実性、気候変動、紛争、地政学的緊張の高まりが、各国の目標達成を妨げていると警告した。|英語版|
国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が発表した「持続可能な開発報告書2026」によると、世界全体で達成に向けて順調に進んでいるSDGターゲットは5分の1に満たない。
報告書の著者らは、国連加盟国の大多数は依然としてSDGsの枠組みに支持を表明している一方で、少数の国、とりわけ米国が、持続可能な開発という考え方と、それを支える多国間機関に対して積極的に反対する立場へと転じていると指摘している。

SDSN会長で報告書の主執筆者の一人であるジェフリー・D・サックス教授は、一定の成果を認めつつも、紛争が目標達成に深刻な影響を及ぼしていると述べた。
「持続可能な開発を世界の基本的な枠組みとして支持する姿勢は、世界中でなお強い。東アジア、南アジアをはじめ、多くの国や地域で注目すべき成功例も生まれている。しかし、紛争が続く中で持続可能な開発を実現することはできない。だからこそ、平和こそが私たちの時代における最優先課題なのである。」とサックス氏は語った。「2030年という節目が近づく中、持続可能な開発の次の時代には、実施を重視し、あらゆるレベルで十分な資金調達と効果的なガバナンスを確保することに世界的な重点を置かなければならない。」
報告書は、とりわけアジアにおける前向きな進展を強調している。インドや中国などの国々は、2015年にSDGsが採択されて以降、最も速い進展を遂げた国々に含まれている。
今回の報告書は、各国政府が2030年以降にSDGsの後に続く枠組みについて議論を始める重要な時期に発表された。一方で、多くの国々は経済的不確実性、気候変動、紛争、地政学的緊張の高まりに直面し続けている。
報告書は「SDGsへのコミットメントは世界的に依然として強い」とし、多くの国々が国連における持続可能な開発関連の決議を引き続き支持していると指摘している。
SDGsは2015年、貧困を終わらせ、地球を守り、すべての人に繁栄をもたらすための普遍的な青写真として、国連加盟193カ国すべてによって採択された。目標は、飢餓、保健、教育、ジェンダー平等、気候行動、平和と司法など、幅広い課題を対象としている。
採択から11年を経た今回の報告書は、進展が不均衡であると結論づけている。
世界全体では、2030年までに達成軌道に乗っているSDGターゲットは16・5%にすぎない。最も大きな進展が見られるのは、インターネット利用、モバイル・ブロードバンド契約、電力へのアクセス、若年層の出生率低下、新規HIV感染の減少などの分野である。
一方で、世界が抱える最も大きな課題の一部は、依然として解決から遠い。
飢餓、持続可能な農業、汚職、報道の自由、効果的な司法制度に関するターゲットは、達成から最も遠い分野に含まれている。報告書は、SDG2「飢餓をゼロに」とSDG16「平和と公正をすべての人に」を、最も深刻な後退に直面している分野として挙げた。
戦争、政治的不安定、脆弱な財政に苦しむ国々は、引き続き遅れを取っている。
SDG指数では、フィンランドが世界首位の座を維持し、スウェーデン、デンマークがそれに続いた。しかし、こうした上位国であっても、責任ある消費、気候行動、生物多様性の保護といった分野で大きな課題を抱えている。
ランキングの下位には、チャド、中央アフリカ共和国、南スーダンなど、紛争と不安に苦しむ国々が並んだ。
報告書の最も強い指摘の一つは、持続可能な開発の前進における東アジアと南アジアの役割の拡大である。
調査によると、東アジアと南アジアは2015年以降、SDGの進展において他のすべての地域を上回った。開発水準が比較的低いところから出発した新興経済国は、多くの富裕国よりも速い進展を示している。
報告書によれば、主要国の中で最大の改善を記録したのはインドとエチオピアで、2015年以降、それぞれSDGスコアを9・6ポイント、9・7ポイント改善した。フィリピンとベトナムも大きな前進を示した。
報告書は、インドが2015年以降、SDGランキングで18位上昇し、主要経済国の中で最大級の改善を遂げたとしている。中国も同じ期間に14位順位を上げた。
「東アジアと南アジアの国々は、2015年以降、他のどの地域よりも大きなSDGの進展を達成した」と報告書は述べている。
研究者らは、この進展の多くを、サービスへのアクセス、インフラ、金融包摂など、社会経済指標の改善によるものと分析している。ただし、多くの国で環境目標はなお課題として残っている。
報告書に掲載されたインドの国別プロフィールでは、インターネット利用、デジタルサービス、農村道路の整備、オンライン行政サービスへのアクセスに進展が見られる。一方で、大気汚染、都市の生活環境、研究投資などの分野では課題が残っている。
持続可能な開発への支持は広く維持されているものの、報告書は国際協力に対する圧力の高まりに懸念を示している。
新たに設けられた「国連を基盤とする多国間主義への各国支持指数」では、国連加盟193カ国の中でバルバドスが首位となり、米国は最下位となった。
バルバドス、アンティグア・バーブーダ、ウルグアイ、トリニダード・トバゴ、モルディブをはじめとする複数の途上国が、同ランキングの上位を占めている。
さらに報告書は、米国について、多国間協力への支持を測る六つの指標すべてで弱い結果を示す「統計上の外れ値」と表現した。報告書によれば、米国はSDG関連決議に反対し、2026年初頭には60を超える国際機関から脱退した。
「米国と同じ投票行動を取る国連加盟国の割合は、世界のすべての地域で急激に低下している。」と報告書は述べている。さらに、米国が2025年の国連総会の記録投票において国際的多数派と同じ立場を取ったのは、わずか5%だったと指摘している。
インドは、カナダ、イタリア、韓国、エジプトと並び、国連を基盤とする多国間主義に対して中程度の支持を示す国に分類された。
報告書はまた、軍事支出の増大と紛争への関与の拡大が、世界各地で多国間協力への支持を弱めていると警告している。
多国間主義について、SDSN副会長であり、報告書の主執筆者および調整役を務めたギヨーム・ラフォルチュン博士は、地政学的逆風が多国間システムの強靱性を試していると述べた。

「今こそ、すべての国が国連憲章の原則、とりわけ第1条から始まる諸原則を再確認し、信頼に足る世界および地域の安全保障体制を築くために協力することが求められている。持続可能な開発の次の時代は、改革された国際金融アーキテクチャを通じた実施、大陸・地域・地方レベルの機関のより大きな関与を優先しなければならない。同時に、説明責任、革新、現場での解決策を推進するうえで、市民社会と大学が中心的な役割を果たす必要がある。」
報告書はランキングや統計に加え、SDGs達成の障害について、専門家および127カ国の1,000人を超える回答者を対象に実施した調査結果も盛り込んでいる。
最も頻繁に挙げられた障害は、政治的意思の欠如、承認済み政策の実施不全、ガバナンスの失敗、汚職、公共参加の弱さ、資金不足だった。
調査参加者はまた、気候変動、脆弱な監視体制、制度間調整の分断も主要な障害として挙げた。
報告書によると、回答者の89%が、承認された戦略を実施できていないことを主要な障害と捉え、87%が地政学的緊張を進展に対する重大な障壁と見なしている。
東アジアと南アジアの回答者は、北米やラテンアメリカの回答者と比べ、自国の進展について概してより前向きな見方を示した。
報告書は、今後の世界的な開発努力においては、新たな目標を作ることよりも、実施を確実にすることに重点を置くべきだと主張している。
研究者らは今後数年間の八つの優先課題を提示した。その中には、戦争の終結、軍事支出を人間開発へ振り向けること、長期投資計画の採用、地域協力の強化、新たな国際的資金調達メカニズムの創設、人工知能やバイオテクノロジーなど新興技術のためのガバナンス枠組みの確立が含まれている。
報告書はまた、アジア、アフリカ、ラテンアメリカに新たな国連キャンパスを設置することを提案し、説明責任、オープンデータ、参加型意思決定の制度を強化するよう求めている。
「ポスト2030アジェンダにとって、実施の強化こそが最重要課題である。」と報告書は記している。
SDG達成期限まで4年を切る中、報告書は、持続可能な開発の未来は新たな約束にかかっているのではなく、各国政府と諸機関がすでに交わした約束を実行できるかどうかにかかっていると強調している。
INPS Japan/ IPS UN Bureau Report

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