SDGsGoal12(作る責任 使う責任)西アフリカ・ベナン、女性たちが何世紀も続く製塩法を持続可能なものへ

西アフリカ・ベナン、女性たちが何世紀も続く製塩法を持続可能なものへ

ベナン・ウィダーIPS=ネハ・バンカ

正午にはまだ早い時間、西アフリカ・ベナンのジェグバジ村郊外の浜辺近くで、女性たちの一団が座り込み、ギニア湾の海から採取した塩の山をふるいにかけている。黒い防水シートで覆われた大型のコンクリート槽には、海水がベナンの真昼の太陽の下でゆっくり蒸発するにつれ、白い塩の沈殿物が残っている。ただし、彼女たちが使っているのは火ではなく、太陽エネルギーである。|英語版

女性たちは、「ProSELベナン」と呼ばれる草の根プロジェクトの一環として働いている。この事業は、ベナン政府に加え、インド、ブラジル、南アフリカ(IBSA)各国政府、そして国連開発計画(UNDP)の協力によって進められているもので、地域の製塩コミュニティが持続可能なエネルギー源を利用し、地元産ヨウ素添加塩の生産・販売に向けた中規模事業を育てられるよう支援することを目的としている。

製塩は、ベナン南部とその周辺に暮らす人々にとって、主要な収入源の一つである。

何世代にもわたる伝統

Map of Benin. Credit:Wikimedia Commons.
Map of Benin. Credit:Wikimedia Commons.

「ベナンの沿岸部では、女性たちが海岸湿地から塩をすくい取ります。小屋を建て、その中で大きな鍋を使い、直火で塩水を煮詰めるのです。そして、その“煮た塩”を市場や道端で売ります。さまざまな理由から、これは健康に良くない作業です。」と語るのは、2021年から2024年まで南アフリカの駐ベナン・トーゴ大使を務め、IBSA支援プロジェクトの実施に深く関わったロビナ・マークス氏である。

ベナンでは、塩を採取して煮詰める伝統的な製塩法が、少なくとも15世紀から行われてきた。主に女性たちが担ってきたこの方法では、塩分を含む土を集め、水分を蒸発させ、刻んだマングローブ材を燃やして塩水をろ過し、塩を作る。

しかし、この作業は、塩の採取方法や製造環境のため、女性たちの健康に悪影響を及ぼしてきた。

「非常に時間がかかり、労力も大きいのです。」とマークス氏は言う。

ProSELベナンは、この伝統的な方法を変え、塩の採取と生産をより健康的で清潔なものにしようとしている。

この地域のコミュニティにとって製塩は重要な収入源だが、その一方で、マングローブの伐採に大きく依存してきた。

ProSELベナンの調査によれば、ベナン沿岸部では、在来の製塩に使う薪として、毎年およそ2万立方メートルのマングローブ材が伐採されている。

UNDPとベナン政府が新しい製塩法について協議を始めたのは、約5年前のことだった。

「しかし、この発想は現場の人々、つまり必要に直面していた人々から生まれたものです。ベナン政府が事業を構想し、UNDPと協力したいと考えたのです」と語るのは、2020年から2024年までUNDPベナン常駐代表を務め、この事業の形成に重要な役割を果たしたアワレ・モハメド・アブシール氏である。

アブシール氏によれば、ProSELベナンは、2030アジェンダの17の持続可能な開発目標(SDGs)のうち、3つの目標――ジェンダー平等、働きがいも経済成長も、つくる責任・つかう責任――を推進する取り組みである。この事業は、ベナンの農村女性が清潔な塩を作って販売し、自立できるよう支援することを目指している。

2021年、インド・ブラジル・南アフリカ貧困・飢餓緩和基金の理事会は、この製塩事業を実施するため、UNDPに100万米ドルを拠出した。

IBSAは、3つの途上国による協力の一例であり、国連の枠組みの中でグローバル・サウスの途上国間の開発協力に焦点を当てた、南南協力の取り組みでもある。

60歳のセシル・コフィ氏が初めてこの製塩事業を紹介されたとき、伝統的な製塩法から切り替えるよう説得するには時間がかかった。

「塩にはたくさんの意味があります。塩は、この地域の女性たちにとって本質的なものなのです」とコフィ氏は、その日の収穫分の塩を確かめながら語る。

ベナンにおいて塩は文化的にも重要であり、その用途は料理にとどまらない。

「塩は食べ物として使われるだけではありません。文化的な側面もあります。神聖なものとみなされ、多くのヴォドゥンの儀式にも使われています」とマークス氏は言う。

「私たちは市場で品物を売るとき、店を構える前に地面に塩をまき、それを掃き集めます。そうすれば悪い霊がすべて去っていくと信じられているのです。塩はとても大切です。たくさんの儀式で使います。」とコフィ氏は語る。

こうした根深い文化的信念が、ベナン政府の支援を受けたProSELベナンであっても、女性たちに変化を受け入れ、適応してもらうことを難しくした理由の一つだったと、アブシール氏は説明する。

Julienne Dekon collects saline water using the traditional method to make salt in rural Benin. Credit: Neha Banka/IPS
Julienne Dekon collects saline water using the traditional method to make salt in rural Benin. Credit: Neha Banka/IPS

伝統的な製塩は、ベナン沿岸部に暮らすXwlaの人々によって行われてきた文化的な営みである。村の塩生産者による伝統的製塩には、作業日、村の神々などに関する多くの禁忌が伴う。

「『Xwlajè』という名称も、Xwla民族と密接に結びついています」と、ProSELベナンの全国プロジェクト責任者であるリュック・オバレ氏は言う。ベナン政府は、この塩を文化的起源を示す「Xwlajè」というラベルで販売できるよう、認証に取り組んできた。

「古い方法は、彼女たちにとって祖先から受け継いできた塩作りの方法です。ですから、そこには意味があります。何かの作り方を変えると、否定的な影響があると考える人もいます。女性たちは事業が始まる前から海から直接塩を取ることもできたはずですが、そうしてこなかったのには理由があるのです」とアブシール氏は語る。

ProSELベナンは、伝統的に塩が採取されてきたベナン沿岸部の5地域――セメ・クポジ、グラン・ポポ、ウィダー、クポマセ、コメ、ロコサ――を対象としている。

「他の地域では、人々は海水を使って塩を作ることに比較的前向きでした。しかし、ウィダーは特別です。ウィダーはウィダーなのです。人々は、最良の塩は乾燥させるのではなく、煮て作るものだと信じています。煮なければならないと考えているのです。」とアブシール氏は説明する。

現場からの介入

ProSELベナンは、地元の塩をより清潔で環境に持続可能なものにしようとする初めての介入事業ではない。しかし、現場担当者たちが実際に事業を立ち上げることに成功したため、成果を上げていると、UNDPのプロジェクト・コーディネーターであるセシ・マルレーヌ・カポ=チチ氏は言う。

「これまで多くの団体が、地域社会にやり方を変えるよう説得することに苦労してきました。」と同氏は語る。

ProSEL事業が進められている浜辺から500メートルほど離れたジェグバジ村の一角には、沿岸ラグーンがあり、そこでは女性たちが茅葺き小屋の連なる一帯で、伝統的な方法によって塩を作っている。

「伝統的な製塩法は、より重労働です」と、45歳のジュリエンヌ・デコン氏は、自分の周囲に広がる湿地から集めた塩分を含む土で重くなった籐かごを持ち上げながら語る。

近年、ベナン政府はマングローブの伐採を禁じており、女性たちは燃料として、乾燥したヤシの葉やココナツの殻を使うよう促されている。

デコン氏は、友人の多くがProSEL事業に参加し、海水を使った現代的な製塩法に切り替えた今も、自分は伝統的な方法で働き続けたいと言う。

小屋の中で塩水を煮始めると、煙が狭い空間いっぱいに立ち込める。

「たくさん働かなければならないときは、確かに疲れます。でも、これが健康にどのような影響を与えるのかは、あまり知りません。」とデコン氏は語る。

デコン氏は、自分がいつ製塩を始めたのか覚えていない。ただ、非常に長い間この仕事を続けてきたため、いまでは伝統的な方法で塩を作ることに慣れている。

「浜辺の方法、つまりProSELの方法は簡単です。でも雨が降ると、外では作業できません。私は土を集めて屋内で煮始めるので、雨の中でも塩作りを続けることができます。2つのやり方はまったく違います。」とデコン氏は言う。彼女が言及しているのは、海沿いに設置された屋外のコンクリート製塩槽であり、天候の変化に左右されやすい。

とはいえ、雨天は伝統的な方法で働く女性たちにも影響する。

ベナンでは4月から8月にかけて雨季を迎え、9月から11月にも短い雨期がある。ラグーン近くの低地に広がる湿地は、洪水に見舞われやすい。

「雨季には、伝統的な製塩が行われている場所に入れなくなります。完全に水没してしまうため、1年の半分以上、塩を生産できません。だからこそ、私たちは女性たちにProSEL方式へ移行するよう働きかけています。彼女たちに代替手段を提供する必要があったのです」とアブシール氏は語る。

雨そのものは天気を見ながら避けることができるが、長引く洪水を避けるのは難しいと同氏は言う。

アブシール氏によれば、この事業では、女性たちが海水を使えるようにすることで、年間を通じて塩を作り、安定した収入を得られるようにすることに重点を置いた。

「海水を使って塩を作る方が、体への負担は少ないのです。水を汲んで、太陽で蒸発させればよいだけです。煮る必要がなく、安全です。収入を増やすこともできます」とアブシール氏は語る。

デコン氏が働く場所から未舗装の道を少し下ったところでは、1人の女性が幹線道路沿いで塩を売っている。

デコン氏のように伝統的な方法で作った塩と、ProSELベナンに参加する女性たちが作った塩との違いは明らかだ。伝統的な塩は、黄色がかった茶色に灰色の筋が混じって見える。これは、ろ過工程が不十分なために生じる色である。一方、ProSELベナンの塩は清潔な白色で、袋詰めする直前に女性たちがヨウ素を混ぜて強化している。

地元市場や道端で売られる伝統製法の塩は、1キログラム入りでおよそ800西アフリカCFAフラン、約2米ドルで販売される。一方、ProSELベナンで作られた同量の塩は、1,000CFAフランで販売される。

公共消費に向けて

ProSELの調査によれば、ベナンには塩を採取する女性が約4,000人いる。同国は、実際に必要とする塩の大半をガーナ、セネガル、インドなどから輸入している。国内の在来型製塩が供給できる量は、国内需要のごく一部にとどまっているからだ。

関係者たちは、女性たちにより清潔な塩の作り方を教えるだけでは不十分であり、販売先となる市場へのアクセスも必要だと認識した。事業が参入を目指している市場の一つが、国連ベナン事務所のもとで活動する世界食糧計画(WFP)である。WFPは、毎年100万人を超える子どもたちに学校給食を提供している。WFPは、ProSELのもとで女性主導の協同組合が生産する塩を購入し、使用することが可能かどうかを調べるための調査を進めている。

ベナン政府は、収穫された塩について野心的な計画を持っている。

2025年12月、ベナンの食品安全機関ABSSA、すなわちベナン食品衛生安全庁は、この塩を公共消費向けとして認証した。その後、この塩は「Xwlajè」というラベルで販売される準備が整えられた。

現在、Xwlajè塩は、コトヌー市内の7つのスーパーマーケット・チェーンのほか、ポルトノボ、コトヌー、コメの各自治体にある独立店舗で販売されている。

「さらに、コトヌー国際空港の免税店でXwlajè塩を販売するための手続きも進められています。」とオバレ氏は語る。

アブシール氏によれば、従来は6時間かかっていた作業が、今では2時間で済むようになった。何世代にもわたり特定の方法に慣れ親しんできた人々を説得する必要があったため、変化をもたらすことは難しかったと同氏は言う。

女性たち、彼女たちの生活をなお管理する立場にある夫たち、首長、市長、地域の指導者たちの信頼を得ることなしには、ほとんど何もできなかっただろうと、同氏は認める。

「現地チームは女性たちのもとに足を運び、彼女たちの必要を理解しました。そうすることで、配慮すべき感情や価値観を理解し、事業を受け入れてもらえるようにしたのです。ベナンでは、外部の人間が来て、何をすべきかを指示するのは非常に難しいのです。」

アブシール氏は、地域社会の中に事業への不信感が生まれれば、これまで積み上げてきた成果が失われる危険性が高いと語る。

「彼女たちは変化を受け入れつつあります。今、私たちは貯蔵施設や機械を保管するための建物などを整備しようとしています。敏感な段階ではありますが、うまくいくと期待しています。」

ベナン政府はここ数年、観光を優先課題としてきた。在来の製塩文化は、観光客にベナン文化を紹介する計画の重要な一部である。

ProSEL事業は、伝統的な製塩法を完全になくすことを目的としているわけではないと、オバレ氏は言う。

「現代的な製塩施設は、伝統的な生産地から遠くない場所に設置されています。観光客が2つの製塩方法の違いを見られるようにするためです。」と同氏は説明する。

20代の若い母親ミレイユ・アジョヴィ氏は、眠る乳児を背負ってProSELの作業場に来ている。

「得たお金で、子どもたちの面倒を見ることができます。学校にも通わせられるようになります。私は自分のことは最後に考えます。まず夫と子どもたちです。男性も家計にお金を出してくれるかもしれませんが、女性はそれでも多くの苦労をしています。女性が何か必要としても、夫は必要な額ではなく、自分が渡したい額を渡すだけです。男性は女性のことを考えてくれません。だから、この事業は私が自分のお金を稼ぐ助けになっているのです。」とアジョヴィ氏は語る。

アジョヴィ氏のような女性にとって、塩作りは単に前の世代の女性たちが担ってきた仕事を受け継ぐことだけを意味するのではない。

彼女は国連のSDGsが何であるかも、IBSAが何を意味するのかも知らない。しかし、ProSELベナンでの仕事は、女性主導の協同組合の中で共同作業をしながら、自らの健康と福祉を優先できる機会を与えている。

作業場で働く他の女性たちと話すとき、彼女はまた、自分がいま手にしている、苦労の末に得た自立と自助の力についても考えている。

This article is produced to you by IPS NORAM, in collaboration with INPS Japan and Soka Gakkai International, in consultative status with UN ECOSOC. 

INPS Japan

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