元国王が凱旋帰国、支持者が空港に集結
【カトマンズNepali Times=シュリスティ・カルキ】
ネパールの元国王ギャネンドラが日曜日の午後、カトマンズ空港に到着し、旗を振る支持者たちに迎えられた。彼はポカラから帰国し、国内各地で行われた王政復古支持の集会に参加していた。
ギャネンドラとその家族は、空港から支持者に伴われ、2008年の制憲議会による王制廃止以降、居住しているニルマル・ニワスの邸宅へと移動した。その後、2015年の憲法改正により、ネパールは連邦民主共和国へと移行した。
退位後、政治的な議論を避けてきたギャネンドラだが、先月のネパール民主主義記念日に際し、「国家を救うための役割を果たす意思がある」と発言した。これに呼応するかのように、最近ではソーシャルメディア上で王政支持の投稿や動画が急増し、かつての国王たちが「国際社会に敬意を持たれた真の愛国者」として称賛される傾向が見られる。
ギャネンドラを支持する王党派には、複数の王党派政党や反政府勢力が含まれており、ネパールの高齢化し機能不全に陥った指導者層や制度に対する国民の不満が、ついに臨界点に達したと主張している。


さらに、新興政党国家独立党(RSP)の指導者ラビ・ラミチャンが、協同組合の資金流用疑惑で捜査を受けるなど、既存の政党のみならず、新たな政治勢力への期待も急速にしぼんでいる。
ギャネンドラ復帰を強く支持する著名人の一人が、元BBCジャーナリストのラビンドラ・ミシュラである。彼はソーシャルメディアで積極的に王政支持の投稿を行い、スリランカ、バングラデシュ、シリアでの市民蜂起を引き合いに出し、ネパールの主流政治家に対して「王政支持の声を無視すべきではない」と警告している。
「主流派の政治家は王政復活の支持が広がっていることを過小評価してはならない。スリランカやバングラデシュの指導者たちのように、市民の声を抑圧しようとしてはならない」とミシュラは指摘した。
政府の対応と懸念


長年、政権を握ってきたネパールの主流派政治家たちは、表向きには王党派を一蹴しているものの、街頭でのデモの広がりには警戒を強めている。
昨年、政府がTikTokを禁止した際、その理由を「社会の調和を保つため」と説明したが、実際には王政復活支持の動きを抑える狙いがあったとみられている。その後、TikTokの禁止は解除されたが、王党派はこれを利用し、かつての王政時代を「黄金時代」と称える投稿を拡散している。
また、元国王マヘンドラが1960年にドワイト・D・アイゼンハワー米大統領に迎えられた映像や、1983年にビレンドラ国王がドナルド・レーガン大統領と会談した映像がSNS上で拡散されており、「現在の首相たちの無能ぶり」と対比するコメントが相次いでいる。
若年層の王政支持の背景


王政復古を求めるデモの参加者には年配層が多いものの、特に若年層の間でSNSを通じた王政支持の声が強まっていることが注目される。
1990年代半ば以降、何度も首相が交代し続けてきたネパールの現状に不満を持つ若者たちは、王政復古を「現政権に対する抗議の手段」として捉えている。
また、絶対王政時代を知らない世代が、王政を「安定した政治体制」として理想化している面もある。
『ナガリク・デイリー』編集長グナ・ラジ・ルイテルは、日曜日の社説でこう指摘した。
「現在、王政を支持する人々は、過去の王政時代を経験していない世代であり、現在の政治に不満を抱いている層だ。」


さらに、「我々の世代は、王政下の抑圧された時代を忘れてはいない。国民が自由に発言できなかった時代、国家機関が何の役にも立たなかった時代があった。」と述べた。
特に、ギャネンドラが2005年に軍事クーデターを起こし、議会を解散したことは、彼の父マヘンドラが1960年に行ったクーデターと重なる。多くの国民はこれを記憶しており、SNS上でも「王政支持」の投稿の中に、ギャネンドラを警戒する声が混じっている。
また、ギャネンドラが国王になった背景である2001年の王宮虐殺事件についても、いまだに「彼が黒幕だったのではないか」と疑う人々は少なくない。
政界の反応と今後の展望


王政復活の動きが広がる中、K.P.オリ首相は先週、「ギャネンドラが本当に権力を望むなら、2027年の次期選挙に出馬すべきだ」と発言した。
また、他の政治指導者たちも、「ギャネンドラは2998年の制憲議会の決定と2015年の憲法を尊重すべきだ」と強調し、王政復活の動きに対抗している。
しかし、王党派の指導者たち(カマル・タパ、ラジェンドラ・リンデン、ラビンドラ・ミシュラなど)は「王政は選挙制度の枠外にある」と主張し、立憲君主制の復活を求めている。
「国王が選挙に出る必要はない。それは我々政治家の仕事だ」と、RPP-Nepal(王党派政党)のカマル・タパ党首はテレビインタビューで語った。「王政は国家の守護者であり、選挙政治の枠を超えた存在だ」と強調した。
しかし、王党派内でも意見は分かれており、「絶対王政の復活」を求める強硬派と、「象徴的な立憲君主制」を支持する穏健派の間で対立が見られる。
ギャネンドラ自身は最近ブータンを訪問し王室待遇を受けたほか、インドにも頻繁に渡航しており、「ネパールを再び世界唯一のヒンドゥー王国に戻すべきだ」という声も聞かれる。
今後、王政復活の動きがどのように展開するのか、ネパール国内外で注目が高まっている。(原文へ)
INPS Japan/Nepai Times
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