ニュース|中東|UAE紙、オバマ大統領の初のイスラエル訪問について論説を掲載

|中東|UAE紙、オバマ大統領の初のイスラエル訪問について論説を掲載

【アブダビWAM】

米国とイスラエルは歴史的に強固な同盟関係を有しているが、バラク・オバマ大統領とベンヤミン・ネタニヤフ首相は親友関係あるとはいえない、とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙が報じた。 

ネタニヤフ首相は、(イスラエルとパレスチナの和平交渉の最大の障害となっている)ヨルダン川西岸におけるユダヤ人入植地の拡大を差し控えさせるよう意図したオバマ大統領の政策に公然と反対の意を唱えてきた。しかも、親イスラエルの米国議会にアプローチをかけ、先の米大統領選挙に際しては、オバマ氏の対立候補である共和党のミット・ロムニー氏を支持した経緯がある。

 「オバマ政権は、ユダヤ人入植地の拡大を推進するネタニヤフ政権の政策に公然と異議を唱えてはいないが、中東和平交渉が遅々として進まない現実に直面して、強硬派のネタニヤフ政権に対する対応を困難だと認識してきた。」と、UAEの英字日刊紙「カリージ・タイムス」は21日付の論説の中で報じた。 

一方、オバマ大統領の中東和平に対するこれまでの取り組みはパレスチナ人の期待には遠く及ばないものであった。オバマ大統領は一期目の2009年6月4日にエジプトのカイロ大学行った演説の中で、現状を「受け入れがたいものだ」と強調(米大統領として初めてイスラエルによるユダヤ人植民地の拡大を停止するよう呼びかけた)して、パレスチナ人の間に和平進展への期待を大いに掻き立てた。しかし、その後の行動は、中東和平を実現するという大義名分をあたかも放棄したかのようだ。昨年11月にハマスによるイスラエル領内へのロケット弾攻撃に対して、イスラエルがガザ地区に対する圧倒的な空爆で応酬し、女性子どもを含む100人以上のパレスチナ人が殺害された際、オバマ大統領は即座にイスラエルの「自衛のための努力」を支持する声明を発した。さらに、パレスチナが国連総会でオブザーバー国家承認を求めた際、反対にまわっている(決議そのものは、日本を含む138カ国の賛成多数で採決された)。 
 
 「今回のイスラエル公式訪問の内容から判断すると、オバマ大統領が今後イスラエル・パレスチナ2国家解決の進展に積極的に貢献することはないだろう。オバマ大統領は、再選を果たしたネタニヤフ首相に対して、米国はイスラエルの最大の同盟国だと語りかけるなど、両首脳の親密ぶりをアピールした(イラン核開発疑惑問題では、核爆弾製造までのタイムリミットを1年とするオバマ大統領の意見に従来今年春・夏をリミットち主張してきたネタニヤフ首相が同意、一方、オバマ大統領は対話による解決を主張しつつも、イスラエルの自衛のための軍事行動は否定せず、それに協力する可能性もオープンにした:IPSJ)。その後、ラマラのパレスチナ自治政府を訪問しマフムード・アッバス大統領とも面談しているが、既に失望感が広がっているパレスチナ人の間からは、オバマ大統領にはもはや前向きな進展は期待できないとの声が上がっている。」と同紙は付加えた。 

さらにカリージ・タイムス紙は、「オバマ大統領は引き続きパレスチナ人のための独立国家実現について口先では賛同しつづけているが、長年に亘るパレスチナ‐イスラエル間の紛争解決について諦めているのは明らかである。全く妥協する姿勢を見せないネタニヤフ首相との対立を避けて現状維持を選択するのは容易ではあるが、中東全体に和平をもたらす鍵は、このパレスチナ‐イスラエル紛争の友好的な解決にあることを、オバマ大統領は忘れてはならない。」と報じた。(原文へ) 

翻訳=IPS Japan 

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