【ニューヨークIDN/GIN=リサ・ビべス】
難民や亡命希望者に対する最もショッキングな虐待事例として一部メディアが報じていた件について、国際移住機関(IOM)は、数千人のアフリカ人移民らがアルジェリア政府による国外追放措置によって、炎天下のサハラ砂漠に置き去りにされ、死者が出ている事実を確認した。
このような措置は既に1年以上にわたって行われてきたが、AP通信が最近行った調査報道をきっかけに、一斉に多くのメディアが報じるようになった。アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチは、昨年に続いて今年もこうした難民に関する報告書を発表しているが、これまで大手メディアにはほとんど取り上げられいない。
ルワンダのキガリで開催されたアフリカ連合(AU)の臨時首脳会合において、アルジェリアはモーリタニア、チュニジア、リビア、エジプト他数カ国とともに、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の協定に付属した移動の自由と居住権に関する議定書への署名を拒否した。
報道によれば、この動きは、サブサハラ・アフリカから北アフリカに多数の移民が発生するのを恐れたのではないかと見られている。AP通信によると「移民たちの証言内容は、AP通信が数カ月に亘って収集した、数百人もの人々が長蛇に一直線に伸びたバスの車列から追い出され、足取りも重く砂漠の彼方に広がっていく映像資料から確認されている。」
一方、アムネスティ・インターナショナルによると、アルジェリア政府当局は、外国人に対して人種による選別や逮捕を行ったうえで、この3週間の間に、2000人を超える様々な国籍のサブサハラ・アフリカ出身者を国外に強制退去させている。この中には、25人の孤児を含む300人強の未成年者がいる。
「数百人におよぶ人々を、肌の色や推定される出身国を判断基準に、逮捕し強制的に国外退去させるという行為は、決して正当化できるものではありません。これは、大規模な人種的プロファイリングを行った露骨な事例です。」と、アムネスティ・インターナショナル北アフリカ研究所のヘバ・モラエフ所長は語った。
一方、アルジェリア政府当局は虐待の嫌疑をきっぱりと否定している。アルジェリア外務省は、我が国の憲法に明記されている通り、「我が国は、人権に関する国際条約に対する公約を破ったことはありません。」と述べている。
さらに外務省は、「我が国は、アルジェリア国内の市民及び外国人をあらゆる形態の差別から保護する諸法律に批准しています。」と強調したうえで、「アルジェリアは長年に亘って、母国で安全が脅かされている難民を受け入れてきました。」と付加えた。
アルジェリア外務省はまた、近年前例のない勢いで不法移民が急増したが、アルジェリア国民の安全を確保するために国際法と諸義務は順守されたことを事実と認めている。
「不法移民問題に取り組む最良の方策は、数百人にのぼる男性、女性、子ども達を外国に追いやっている根本原因に対処することです。」と外務省は強調した。(原文へ)
INPS Japan
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