SDGsGoal1(貧困をなくそう)|アフガニスタン|米国がもたらした戦争、腐敗、貧困に終止符をうたなければならない

|アフガニスタン|米国がもたらした戦争、腐敗、貧困に終止符をうたなければならない

【ニューヨークIDN=メディア・ベンジャミン】

タリバンの復権を受け、アフガニスタンでは深刻な人道危機への懸念が高まっている。そうした中、米国はアフガニスタン中央銀行の外貨準備を凍結し、国際通貨基金(IMF)も資金供与を停止した。西側諸国はこれを対タリバン圧力として正当化しているが、その代償を払わされるのは、飢餓、干ばつ、新型コロナ禍に直面するアフガニスタンの市民である。問われているのは、20年に及ぶ戦争の後、米国と同盟国がなお経済的威圧によってアフガニスタンを追い詰めるのか、それとも復興と生存を支える責任を果たすのかである。

米国では、タリバンの復権から逃れようと、何千人ものアフガニスタン人が命がけで国外脱出を試みる映像に衝撃が広がった。さらにその直後には、イスラム国による自爆攻撃と、それに続く米軍の攻撃によって、少なくとも170人が命を落とし、その中には13人の米兵も含まれていたことが大きな衝撃を与えた。

国連機関がアフガニスタンで差し迫った人道危機に警鐘を鳴らす中、米財務省はアフガニスタン中央銀行が保有する94億ドルの外貨準備のほぼ全額を凍結した。これは、新政権が今後数カ月にわたり国民に食料を届け、基礎的な公共サービスを維持するうえで不可欠な資金を断つ措置にほかならない。

米国とその同盟国は、戦争に敗れた後の対応として、タリバンのみならずアフガニスタン国民に対しても、いわば「第二の戦争」としての経済戦争を仕掛けつつある。

バイデン政権の圧力を受け、IMFは新型コロナウイルス対策としてアフガニスタンに送られる予定だった4億5000万ドルの資金供与を見送った。米国と西側諸国はまた、アフガニスタンへの人道支援も停止している。8月24日のG7アフガニスタン首脳会合後、英国のボリス・ジョンソン首相は、支援と承認を差し控えることで、タリバンに対し「非常に大きな経済的、外交的、政治的影響力」を持てると語った。

西側諸国の政治指導者は、この「影響力」を人権擁護の文脈で説明する。だが実際には、タリバン復権後の政権内に自らのアフガン側同盟者の一定の地位を残し、西側の影響力と利益を維持しようとする意図が透けて見える。この圧力はドル、ポンド、ユーロで行使されるが、その代償を支払うのはアフガニスタンの市民である。

西側の論調を見れば、米国と同盟国による20年戦争は、アフガニスタンを近代化し、女性を解放し、保健医療、教育、雇用をもたらす善意の事業であったかのように描かれる。そして、それがタリバンへの「屈服」によって失われたと説明される。

しかし、現実は大きく異なる。米国はアフガニスタン戦争に2兆2600億ドルを費やした。この規模の資金が本当に人々の生活のために使われていれば、多くの人々を貧困から救えたはずである。ところが、その大半に当たる約1兆5000億ドルは、米軍占領の維持、8万発を超える爆弾とミサイルの投下、民間軍事請負業者への支払い、そして兵員や武器、軍事装備の長年にわたる輸送に費やされた。

しかも、この戦争は借金で賄われたため、利払いだけでもすでに5000億ドルに達し、その負担は今後も続く。アフガニスタンで負傷した米兵に対する医療費や障害給付も1750億ドルを超えており、今後さらに膨らむ見通しだ。イラク戦争とアフガニスタン戦争を合わせた医療費と障害給付は、最終的に1兆ドルを超える可能性もある。

では、「アフガニスタン再建」は何をもたらしたのか。米議会は2001年以降、アフガニスタン再建のために1440億ドルを計上したが、そのうち880億ドルは、すでに崩壊したアフガン治安部隊の募集、武装、訓練、給与支払いに充てられた。さらに、2008年から2017年に支出された155億ドルは、アフガニスタン復興特別監察官(SIGAR)によって「浪費、不正、乱用」と記録されている。

その結果、経済開発、医療、教育、インフラ、人道支援といった分野に実際に回った資金は、米国のアフガニスタン向け総支出の2%にも満たない約400億ドルにすぎなかった。

しかも、イラクと同様、米国が後押ししたアフガニスタン政府は深刻な腐敗体質を抱えていた。トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)は、米国占領下のアフガニスタンを、長年にわたり世界でも最も腐敗した国の一つに位置づけてきた。しかもTIによれば、2001年以降の腐敗の規模は、それ以前を上回る水準にまで拡大した。経済協力開発機構(OECD)も2009年、「腐敗は過去のどの政権にも見られなかった水準に達した」と警告していた。

2010年、レーガン政権下で国防総省高官を務めたアンソニー・H・コーデスマンは、『アメリカはいかにアフガニスタンを腐敗させたか』と題する報告書で、米政府がほとんど説明責任を果たさぬまま巨額の資金を流し込んだ実態を厳しく批判した。『ニューヨーク・タイムズ』も2013年、CIAが10年にわたり毎月、現金をスーツケースやバックパック、さらにはビニール袋に詰めてアフガニスタン大統領に届け、軍閥や政治家の買収資金にしていたと報じている。

腐敗は、教育や医療といった、西側諸国が占領の成果として掲げてきた分野すら蝕んだ。教育制度には、書類上しか存在しない学校、教師、生徒があふれ、薬局には偽造薬や期限切れ、あるいは質の低い医薬品が並んだ。多くは隣国パキスタンから密輸されたものだった。さらに、教師のような公務員は、外国のNGOや請負業者で働く一部のアフガニスタン人の10分の1程度の賃金しか得られず、こうした格差が腐敗の土壌となった。

腐敗の根絶や生活改善は、そもそも米国の最優先課題ではなかった。重視されたのは、タリバンとの戦闘継続と、米国が支える政権の支配維持である。TIが指摘したように、米国は協力や情報提供を確保するため、武装集団や公務員に意図的に資金を流し、どれほど腐敗していても地方権力者と手を組んできた。その結果、腐敗はアフガン政府への不信を深め、反乱勢力への支援を招き、米国の任務そのものを損なった。

終わりの見えない占領の暴力と、米国支援政権の腐敗は、とりわけ人口の4分の3が暮らす農村部で、タリバンへの支持を押し上げた。さらに、富裕国による占領下にありながら極度の貧困が放置された現実は、人々に深い幻滅をもたらした。

実際、今回の危機以前から、現在の収入では暮らしていけないと答えるアフガニスタン人の割合は、2008年の60%から2018年には90%へと急増していた。2018年のギャラップ調査では、アフガニスタン人の自己申告による幸福度は、世界で記録された中でも最低水準となった。人々は極度の苦しみだけでなく、将来への深い絶望も抱えていた。

女子教育には一定の進展もあったものの、2019年時点で初等教育を受けていた少女は3分の1にとどまり、10代少女の識字率は37%だった。さらに、6歳から14歳までの200万人を超える子どもが、貧困に苦しむ家族を支えるために働かざるを得ない状況に置かれていた。

それにもかかわらず、西側諸国の指導者たちは、自らの責任を顧みるどころか、アフガニスタンの公共部門の4分の3を支え、GDPの40%を占めていた経済・人道支援を断ち切ろうとしている。

この構図は明白である。新たなアフガニスタン政府が西側の要求に従わなければ、米国と同盟国は国民を飢えさせ、その後に生じる飢饉や人道危機の責任をタリバンに転嫁する。これは、キューバやイランなど、他の米国の経済制裁対象国に対しても繰り返されてきた構図と重なる。

いま米国に求められているのは、祖国を離れなかった4000万人のアフガニスタン人を支えることである。彼らは、戦争が残した深い傷と心の痛みに苦しむだけでなく、今年40%の作物を失わせた大干ばつと、深刻な新型コロナウイルス感染第3波にも直面している。

そのためには、米国内で凍結されている94億ドルのアフガニスタン資金を解放すべきである。また、すでに消滅したアフガン軍向けに割り当てられていた60億ドルを、別の軍事支出に流用するのではなく、人道支援へ振り向けるべきである。さらに欧州の同盟国やIMFにも、資金供与停止を見直すよう促す必要がある。むしろ、国連の2021年緊急支援要請13億ドルを全額拠出で満たすべきであり、8月下旬時点でその充足率は40%未満にとどまっていた。

かつて米国は、英国やソ連とともにドイツと日本を打ち破り、その後、両国の再建を支援した。人種差別、広島・長崎への加害、新植民地主義的な対外関係という重大な問題を抱えながらも、かつての米国には、多くの国々が追随しようと考えるだけの繁栄の構想があった。

しかし、いま米国が他国に示せるものが、アフガニスタンにもたらした戦争、腐敗、貧困だけであるなら、世界が別のモデルを模索するのは当然である。そこには、民衆的・社会的民主主義の新たな試み、国家主権と国際法の再重視、軍事力に依存しない紛争解決、そして新型コロナや気候危機といった地球規模課題に対処する、より公正な国際協力の枠組みが含まれる。

米国はいま、軍国主義と威圧によって世界を支配しようとする実りなき路線を引きずるのか、それともこの機会に自らの立ち位置を根本から見直すのか、重大な岐路に立っている。もはや支配はできなくとも、ともに築くべき未来にどう協力し、意味ある貢献を果たすかが問われている。(原文へ

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