地域アジア・太平洋|アフガニスタン|タリバン勢力、全国に拡大

|アフガニスタン|タリバン勢力、全国に拡大

【カブールIPS=アナンド・ゴパル】

アフガニスタン東部国境地帯で、連日のように民間人を巻き添えにする西側同盟軍とタリバンの戦闘が行われている。アフガニスタン政府は、同盟軍戦力について、過剰かつ不適切と非難。米国は、これを打ち消そうと必死だ。

アフガン連邦議会のある議員グループは先週、ナンガルハル州で米軍が結婚披露宴会場を爆撃、民間人47人が死亡したことを明らかにした。その2日前には、別の米軍による空爆で15人の民間人が死亡している。被災地の住民は、「カルザイは我々に犯人を引き渡すか、さもなければ辞任すべきだ」と憤る。

国連の報告によれば、今年これまでの死亡者数は、前年同期比で約6割強増加しているという。またアナリストによれば、2008年前半で、米軍および同盟軍は、前年同期比40パーセント増、1,853発の爆弾/ミサイルを発射しているという。

  タリバン勢力は、これに対抗し新たな攻撃を宣言。一連の大規模攻撃により支配地を拡大している。4月にはカルザイ大統領も危うく暗殺されるところであった。6月には、カンダハールの刑務所が襲われ収容者約1,000人が逃亡。2週間前には、カブールのインド大使館爆破で40人が死亡、約100人が負傷している。

タリバンの存在は全国に広がり、特にカブール周辺で勢力を増している。ガズニ州では、ほとんどの地区が夜間はタリバンの支配地同然という。また、クナール、ヌリスタン州では、警察は既に検問を取りやめ、タリバンは自由に行き来しているという。
 
 この様な状況の中で、米国ではアフガン兵力増強論が浮上してきた。アフガン駐留の米司令官は、暴力鎮圧には1万の兵力増強が必要と主張。民主党大統領候補のオバマ氏は、イラク兵力を削減し、アフガンへ2旅団、約7千人を派遣すると約束。共和党のマケイン候補もイラクの兵力は維持するとしながらも、オバマ氏と同様の政策を主張している。いずれも兵力不足が暴力拡大をもたらしたとの考えであるが、2007年1月にNATO軍を3万7,500人から5万3,000人に増加したにもかかわらず、暴力は拡大している。

アフガン市民の多くは、貧困対策やインフラ整備といった根本的な問題に取り組まなければ、7,000人の増兵では何にもならないと語っている。最近のアフガニスタン情勢について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan

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