【ロンドンIPS=サンジャイ・スリ】
「タリバンが再びアフガニスタン南部の支配権を握り、日ごとに勢力を拡大している」と、カブール、
ロンドン、パリ、ブリュッセルに事務所を持つ国際的なシンクタンク、サンリス協議会の報告書が伝えた。このアフガニスタン復興に関する報告書は、治安の悪化するヘルマンド、カンダハル、ヘラート、ナンガハルの各州にわたる広範囲の現地調査に基づいている。
報告書によると「飢餓や貧困といった人道的危機がアフガニスタン南部を襲い、タリバンが救いの手を差し伸べたために、人々はタリバン支持に回っている」。サンリス協議会のE.レイナート事務局長は、「麻薬撲滅運動が農民の生計の糧を奪い、それに乗じてタリバンが困窮した人々を支援している」とIPSの取材に応じて語った。
「米国主導の国家再建は、効果の上がらない政策と支援や開発計画の資金不足から失敗した」と報告書は指摘する。「その結果、再びテロの温床を創出してしまう可能性がある」
アフガニスタンの国際部隊は国際的テロ集団を封じ込めるために5年もこの地に駐留してきた。だがレイナート事務局長は、「ネオ・タリバンは地元のアフガニスタン人であり、外国の要素は確認されていないために、今のところテロ集団と決め付けられない」という。
報告書は「国際社会からの援助不足でアフガニスタン政府も国連世界食糧計画もアフガニスタンの飢餓を解決できないでいる」とする。「米国主導の国際社会は援助資金を軍事作戦や治安維持に費やしている」
2001年の同時多発テロから5年が過ぎたが、アフガニスタンはいまだに最貧国のままでいる。この重大な事実を国際社会が見過ごしたために、人々はタリバンに目を向け始めた。粗末な難民キャンプには連合軍の作戦で家を破壊された人々も多い。
報告書は米国と国際社会はただちにアフガニスタンへの取り組みを見直すべきだとする。「タリバンの復活は人々の困窮が根本的な原因なのだから、緊急の貧困救済が最優先課題だ」とレイナート事務局長はいう。タリバンの復権が懸念されるアフガニスタン情勢について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
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