地域アフリカ│アフリカ│南南協力は開発に焦点を当てるべき

│アフリカ│南南協力は開発に焦点を当てるべき

【ヨハネスブルクIPS=ティナス・デジャガー】

アフリカ諸国は、域外の国々と協定を結ぶ際には、たとえ利益があるように見えても、みずからの開発計画を中心的な課題とするよう慎重に対処すべきである。

南アフリカ国際問題研究所(SAIA)のエリザベス・シディロポウロス所長は、「南南協力という考え方は長らく語られてきましたが、近年における中国とインドの『目を見張るような経済成長』を背景に、注目度が高まっています。とりわけ、後続の発展途上国においては、両国の開発手法に対する関心が高い。」と語った。

南アフリカのウィットウォータースランド大学付属のシンクタンクであるSAIAは、6月9日から10日にかけて「インド、南アフリカ共和国、及びアフリカ大陸」に関する国際会議を開催した。

 
シディロポウロス所長は「インドとアフリカ諸国は法規制や貧困の分野において多くの類似した問題に直面していることから、南南関係を通じた交流は双方に恩恵をもたらすでしょう。」と語った。同所長は、インドとアフリカ諸国間の協力が両者にとって有益である点を強調する一方、この関係が一方にのみに利益をもたらすものであってはならないと警告した。

「途上国はみずからの役割を果たさねばなりません。経済成長を促進するような手法はいくつもありますが、援助はそのひとつに過ぎません。アフリカはインフラ開発とスキル開発を必要としています。また市場アクセスの問題も依然としてあります。」とシディロポウロス氏は語った。

シディロポウロス所長は、途上国間貿易の増加がもたらした直接的な影響については、未だに見極めが困難だと指摘する一方で、「国際貿易の舞台に新たな勢力が加わったことは事実です。アフリカ諸国は、この新しい環境の中で、職業訓練へのアクセス、技術の蓄積が可能となり、途上国間貿易のみならず先進国との貿易交渉においても交渉力を強めています。」と語った。

また同所長は、「海外投資家はアフリカに投資しています。しかし、鍵となるのは、パートナーとアフリカ諸国との間の開発協力です。援助は効果的でなければなりませんが、それは南南貿易というよりも、南南協力というべきものでしょう。」と語った。
 
インドは「アフリカの開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」等のイニシアチブに参加してアフリカ大陸に対する積極的な支援を行う方針を打ち出している。

またインドは、情報格差解消に向けた支援としてオンライン診療が可能な電子医療システムをアフリカ大陸に導入すべく多額の投資を行っている。また、小規模かつ革新的なプロジェクトを対象に資金支援を行う「インド・ブラジル・南アフリカ(IBSA)基金」という試みもあり、例えば、西アフリカのギニアにおけるごみ処理事業に資金支援が行われている。

「しかしこうした支援の効果は、実際にプロジェクトが実施され、長い期間が経過しないと評価することはできません。」とシディロポウロス所長は警告する。

アフリカ諸国は、協力関係を機能させるために、協力合意を結ぶ際にはアフリカ側の既存の開発計画を考慮した内容にすべきである。そうした観点から西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)や南部アフリカ開発共同体(SADC)などの地域機構が、こういった協力の形態にできるだけ関与すべきである。またプロジェクト管理の取引コストを軽減するためにコーディネーターをプールしたり、協力事業の合意内容を慎重にモニタリング、さらには、透明性を確保する努力も必要である。

「南南協力は、南北協力の終焉を意味するものではありません。しかしアフリカ諸国はアフリカに関わる国際問題について発言権を持ちたいのです。」とシディロポウロス所長は付け加えた。

南アフリカ第二の通信企業の社長であるスニル・ジョシ氏も、南南関係は貿易というより協力をベースにしたものであるべきと考えている。彼は、アフリカは天然資源以外にも提供できるものがある、という。たとえば、インドや中国に比べて若い労働力がそれである。

「2009年当時、生産年齢人口に属するインド人は全体の64%でした。しかしこの割合は2020年には57%に低下すると見られています。ちなみにインド人の平均年齢は27歳であり、中国人の場合は37歳であった。一方、アフリカの平均年齢はこれらよりはるかに低いことから、こうした若い人的資源が、将来的にはアフリカ大陸の強みとなっていくでしょう。」とジョシ氏は語った。

またジョシ氏は、「経済成長は、進歩をはかる際に考慮する要素の一つでしかありません。人々や文化に対する好影響といった側面も考慮にいれなければならないのです。」と語った。

南南協力を検討する際、アフリカ諸国は現実的な判断をすべきです。それは南南協力が南アフリカ共和国のような比較的裕福な国には適しているかもしれないが、多くの後発途上国にとってはむしろ南南協力よりも援助の方が効果的と考えられるからです。しかしいずれにしても、南南協力はアフリカの成長段階を支える土台となる戦略の一つとなりえるでしょう。」とジョシ氏は語った。

アフリカ諸国とインド・中国の国際協力の可能性について報告する。(原文へ

翻訳=山口響/IPS Japan戸田千鶴

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