地域アジア・太平洋|オーストラリア・米国|オバマ氏との争点になる可能性のあるアフガニスタン

|オーストラリア・米国|オバマ氏との争点になる可能性のあるアフガニスタン

【メルボルンIPS=スティーブン・デ・タルチンスキ】

オバマ次期米大統領により米国に変革が訪れるのを、オーストラリアは歓迎している。オーストラリアと超大国米国との同盟関係は揺るぎないままだろう。「これまでもこれからも両国の関係は繁栄を続ける」とラッド首相はアフリカ系アメリカ人初の米国大統領の誕生を歓迎して述べた。 

オーストラリアのあらゆるメディアもすばやくオバマ氏勝利を歓迎する報道を行った。シドニー大学のUS研究センター(USSC)が選挙前に行った調査によると、オーストラリア人のほとんどがオバマ氏を支持していた。3分の1は選挙結果がオーストラリアに影響しないと答えたが、49%がオバマ氏の勝利の方が有利だと答えた。

 米豪の二重国籍を持つUSSCのジョフリー・ガレット教授は、オバマ氏の勝利はブッシュ政権と決別したかったオーストラリア国民には大きな意味を持つが、オーストラリアの政権に影響はないという。オーストラリアは第二次世界大戦後に米国と緊密な関係を築いた。1951ANZUS条約で結ばれた軍事同盟であり、ベトナム、イラク、アフガニスタンで米軍を支援する役割を果たしてきた。 

ラッド首相とオバマ氏の若さ、現実派、多国間主義者といった類似性も同盟を強化するとみられている。受諾演説でオバマ次期大統領は気候変動問題、テロとの戦い、米国の経済問題を最大の課題としたが、ラッド首相も同様の認識をしている。 

オバマ氏もラッド首相も、温室効果ガスの大幅削減を目指し、金融システムに規制強化を図り、テロとの戦いではアフガニスタンを重視している。オバマ氏は就任後16カ月以内のイラクからの米軍撤退を望んでおり、6月にイラクから撤退しているオーストラリアのラッド首相は、アフガニスタンでの長期的活動を重視する姿勢を明言している。 

だが国際治安支援部隊(ISAF)での負担が公平でないという不満もあり、オバマ次期大統領がオーストラリアへの要求を増すのではないかとガレット教授はみている。イラクに関わっている米軍には余裕がなくNATO諸国も部隊の増員は期待できない。 

オーストラリアはアフガニスタンにおける非NATO国最大の貢献国であり、1,100人規模の部隊を派遣している。ラッド首相は先週、オーストラリア軍の負担が増える可能性を否定したことから、この点が米豪の関係にとってひとつの争点となるかもしれない。 

オバマ次期大統領が選出された米国とオーストラリアの今後の関係について報告する。 

翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩 


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