【国連IPS=ノラ・ハッペル】
「民間部門の行動がポスト2015年開発アジェンダの成功を左右することになるでしょう。」と、国連ハイレベル政治フォーラムという文脈で7日に開かれたサイドイベントの開会あいさつでカルメヌ・ヴェッラ欧州委員会委員(環境・海事・漁業担当)は語った。
「ポスト2015年アジェンダの実行に市民社会を関与させる」と題されたイベントは、欧州経済社会委員会、欧州連合(EU)国連代表部、国連経済社会局が主催して開かれた。
同イベントには、EUや国連の関係者、市民社会組織、経済界、労働組合などの代表が参加し、持続可能な開発政策における市民社会の影響について議論し、市民社会組織のさらなる活発な関与を促進する措置について話し合われた。
このイベントを通じて強調されたように、「組織された市民社会」がポスト2015年の開発アジェンダを実現するうえで重要な役割を持っている。
「組織された市民社会」という用語は、政府から独立したすべての集団や組織を指し、共通の利益促進のために市民が協力してことにあたる状況を示している。
パネリストたちは、今年9月に採択予定の「持続可能な開発目標」(SDGs)の策定に大きな貢献を成したのちに市民社会が果たしうるさらなる役割は、その実行プロセスに関与することであり、その再検討や監視手続きで役割を果たすことであることを明確にした。
ヴェッラ氏は、省エネを改善し、インフラへの資金を提供し、生物多様性を守るうえで、社会的責任やグリーン経済といった概念を通じて経済界が与えうる影響についても指摘した。
ヴェッラ氏によれば、「ライフスタイルや選ぶ製品に関して、十分な情報をもった決定を行うこと」によって、消費者も重要な役割を果たすという。これらの行動は、社会的保護や公正な労働条件、持続可能な開発を求める労働組合やNGOの政策提言活動によって補完され、他方で、市民社会全体も、「我々に責任を取らせる」うえで重要な機能を持っているという。
国連環境計画のイブラヒム・ソー副代表は、世界の多くの場所において政府にはSDGsを成功に導く専門能力も知識も欠いていることがあるという事実に特に注意を向けた。市民社会組織は、政策推進能力や科学、知識を提供することによって、違いを生み出すことができるという。
「市民社会組織には政策決定の権限もないし、国家レベルで決定を下す権限もないが、科学を提供し、政策決定において科学を統合するよう訴えていく点で、非常に重要な役割を担っている。」
CIVICUS(シビカス/市民社会の世界的連合組織)のジェフリー・ハフィンズ国連代表は、主要な利害関係者との関与のメカニズムに関する最近の調査結果を示しながら、国連加盟国及び国連が、周縁化された社会からの利害関係者が関連の会合に参加するよう資金支援を行い、遠隔地からの参加が可能になるようにオンラインのビデオストリーミングを継続し、関連する利害関係者の間の調整を促進し、現在の関与メカニズムが真にすべての利害関係者を代表するものであり「北(=先進国)」の巨大組織によって支配されることがないよう見直す必要性について意識を喚起した。
つづくパネル討論会では、「地球を救うために」経済界が短期的な利潤を諦める意思があるかどうかについて懐疑的な意見が出された。しかし、パネリストらは、顧客が持続可能性を期待し、政府が要求する中で、経済界も徐々にそれを受け入れ実行しつつあるという楽観論を示した。
米国国際ビジネス評議会のノリーン・ケネディ副代表(環境担当)によれば、より持続可能で、より浪費が少なく、より効率的な経済活動は同時に競争力を増すことにもつながるという。責任あるビジネスは「ユートピアではなく、実際将来的に実現する世界の姿なのです。」とケネディ氏は語った。(原文へ)
翻訳=IPS Japan
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