地域アジア・太平洋|スリランカ|民間人、国連に対し支援続行を要請

|スリランカ|民間人、国連に対し支援続行を要請

【コロンボIPS=フェイザル・サマス】

スリランカ政府軍の兵士数千人がキリノッチを含む北部ワンニ地方に集結。政府および軍アナリスト言うところの近年最大のLTTE(タミル・イーラム解放の虎)攻撃を準備している。

LTTEは25年に亘り、スリランカの北部および東部を領土とするタミル族国家建設のため戦いを続けているが、政府軍は昨年LTTEから東部地域を奪回。現在はワンニ地方、特にキリノッチおよびムッラティブの反乱軍要塞の攻撃に集中している。キリノッチにはLTTEの情報基地があり、リーダーのヴェルピラ・プラブハカランが同地およびその周辺から作戦を展開しているという。

政府軍はこれまで、空軍戦闘機によるLTTE基地への精密爆撃を行うと共に陸軍の特別部隊を敵地深く侵入させLTTE幹部の殺害を行ってきた。しかし、反乱軍は先週、政府軍が支配するキリノッチの南の町ヴァヴニヤの基地へ突如空陸攻撃を仕掛けてきたのであ

る。

 政府は、キリノッチ陥落はまじかと見ているが、軍アナリストは、「LTTEは最近の戦闘ではベテランを温存して若い兵士を使っている。時間稼ぎをし、一気に全面攻勢を仕掛けるつもりである」と述べている。

LTTE和平事務局は、「ワンニ地方の空爆により11万3千人の市民が家を追われた。政府軍の行動は大量虐殺に等しい」と述べているが、ジャーナリストの地域立ち入りが禁止されているため、客観的な状況確認は不可能である。

政府は、戦闘激化に伴う北部住民のコロンボ流入を憂慮。ラジャパクサ国防長官は、LTTE幹部が難民に交じりコロンボの中枢地域に侵入してくるのではないかと警戒している。

国防省は先週、安全を保障できないとして、国連を始めとする人道支援機関に対し戦闘地域からの撤退を指示した。9月9日には国連の潘事務総長が政府およびLTTEに対し、民間人の安全/自由確保を要請したが、コロンボの国連担当官は9月20日を目途に立ち退きを進めていると語っている。

キリノッチからの報告によると、住民は国連担当官に対し、戦闘地域の民間人保護という原則に反し撤退する旨を書面にして提出するよう迫っているという。一方、政府は、LTTEはこれまで通り非戦闘員を攻撃の盾とするため市民の同地立ち退きを禁止していると語っている。

スリランカの戦闘激化について報告する。

翻訳/サマリー=IPS Japan 浅霧勝浩

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