地域カリブ海地域|キューバ|「ハリケーン被害の規模は死者数に関係なし」と国連常駐調査官

|キューバ|「ハリケーン被害の規模は死者数に関係なし」と国連常駐調査官

【ハバナIPS=パトリシア・グロッグ、ダリア・アコスタ】

先月キューバを襲ったハリケーン『アイク』は250万人を越える避難民を出した。幸いキューバ全土での死者は僅か7人であったが、100万人以上の人々が家屋の損壊、家を失うなど多大な被害を受けた(51万4,875棟が損壊、このうち9万1,254棟は全壊)。キューバ政府は今回の大型ハリケーンによる被害総額は50億米ドル相当になるとしている。

国連キューバ常駐調査官、Susan McDade氏はIPSとの取材に応じ、自然災害による開発の遅れを取り戻すには国際社会の迅速で適切な支援が不可欠であると強調した。

 「今のところ具体的な数値は報告されていないが、今後キューバ経済は何らかのダメージを受けるだろう。国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)、汎アメリカ地域保健機構(PAHO)、食糧農業機関(FAO)など国連の諸機関がキューバ政府に働きかけを始めているが、いずれも成果が出るまで一定の期間にわたる中期的コミットメントが必要である」。

キューバを先に襲ったハリケーン『グスタフ』の通過後、同国政府は国連からの支援を受け入れた。キューバ外国投資・経済協力省の指示に従い、国連は住宅や電気復旧、教育・医療サービスの復興への資金を準備。さらに、10万ドルを投じ建設工具の調達を行うなど具体的な支援を行っている。

自然災害を受けやすい地域への災害予防や被害減殺について、同氏は「避難場所を設置する一方で、災害に強い家屋や屋根を用意することも重要である。キューバは常にハリケーン上陸の危険に晒されている」と語った。

また、McDade氏は今回のハリケーンによる農業への甚大な被害についても触れた。「近年の食糧価格の高騰の影響で、ハリケーンの上陸以前からキューバの農業は危機的な状況に陥っている。国際収支の悪化に苦しむキューバは開発計画や公共投資に必要な資金を必要としている。国際社会の支援を受け現在の難局から抜け出そうとしているキューバの今後に注目したい」。

「今回のハリケーンによる犠牲者は少なかった。だからといって被害が小さかったというわけではない。キューバは現在も被災地復興のため外部からの支援を必要としているのだ」と訴えた。キューバの国連常駐調査官とのインタビューを報告する。(原文へ)

翻訳/サマリー=IPS Japan 浅霧勝浩

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