【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】
ナイロビ大学教授時代、英語学科廃止の議論のきっかけを作ったのは、ケニア人作家のグギ・ワ・ジオンゴ氏だった。ジオンゴ氏は、植民地支配が終焉した後、アフリカの大学では口承文学を含むアフリカ文学を教えることが必須であり、それはアフリカの豊かな言語を使って行われるべきであると主張してきた。
今日、Google翻訳アプリに10言語が追加されたことで、アフリカの言語での執筆や読書がより身近なものになるだろう。翻訳は、ある言語から別の言語への意味の伝達と理解され、情報、知識、社会的革新を伝達するうえで極めて重要である。また翻訳は、知識を伝達するための「運び屋」であり、文化遺産の「保護者」であり、グローバル経済の発展にとって不可欠なものだ。
新たに加わったのは、中央アフリカのリンガラ語、ガーナのトウィ語、エリトリアのティグリニャ語、エチオピアのオロモ語、そしてシエラレオネのクリオ語だ。
クリオ語は英語をベースとしたクレオール言語で、約35万人が母語とし、400万人以上が共通語として使用している。シエラレオネの人口の87%がこの言語を話している。
「クリオ語が可視化されたことにより、クリオ語を読み、書き、理解できるシエラレオネ人は、シエラレオネ・オートグラフィを使用して、グーグル・プラットフォーム上でコミュニケーションできるようになることを意味しています。」と、シエラレオネ大学フーラカレッジ言語学科長のアブドゥライ・ワロン・ジャロー博士は語った。博士は、グーグルのためにシエラレオネ方言の翻訳を担当したチームの一員である。
「言語は私たちのアイデンティティであり、私たちが誰であるかを表し、あらゆる文化のDNAと呼ぶべきものだと言われています。私たちが自国語の一つを使ってグーグルに関わるということは、私たちの言語が技術的に適切であり、私たちの社会が文化を発信でき、私たちの考え方を翻訳できるということです。」
ジオンゴ氏は長年にわたって現地語の使用を提唱してきたが、1977年、現地の俳優がギクユ語で演じる劇を書いたために投獄された。当時は、母語で話したり書いたりするという単純な行為でさえ革命的な行為だった。
54カ国からなるアフリカにはさまざまな言語が存在し、その中には他の支配的な言語の拡散や西洋文化の影響により危機に瀕している言語もある。アフリカの希少な言語の中には、その文化や知識とともに絶滅の危機に瀕しているものさえある。
植民地時代以降、アフリカの人々は自分たちの言語的アイデンティティの価値をより強く認識するようになった。しかし、国家レベルで公用語とされているのはごく一部であり、植民地支配によって輸入された言語が依然として主流を占めている。
幸い、アフリカ諸国はより多くの言語継承を主張し、アフリカの希少言語を再生・保存するために多言語化を目指した言語政策を展開している。(原文へ)
INPS Japan
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