【アスタナINPS Japan=浅霧勝浩】
Q:世界伝統宗教指導者会議の目的である、対話を通じた平和と協力について、全体会議で固定観念の克服の重要性を訴えておられましたが、詳しくお話しください。
ムウォンベキ師:人は、会ったことがない人々について特定の固定観念(ステレオタイプ)を抱きがちです。しかし実際に会ってみると、それが間違っていたことに気づくのです。
世界伝統宗教指導者会議では、例えば道教やバハイ教のように、今まで会ったことがない様々な宗教指導者と出会いました。実際に会って対話を重ねてみると、私が以前抱いていたイメージは違ったものでした。
またここカザフスタンでは、イスラム教徒の人々とも出会い、彼らがイスラム教についてどのように考え話しているかに耳を傾け、すべての人の人間の尊厳へのコミットメントを見て、彼らの人生に対する態度が、私が以前に抱いていたステレオタイプとは異なっていることを理解しました。
アフリカでは、イスラムの名のもとにソマリアやサブサハラ地域、ナイジェリア北部等で起こっていることから、イスラム教は暴力的というステレオタイプを抱いている人々が少なくありません。
しかし、それは真実ではありません。暴力をイスラム教と結びつけて考える人々に対して、「これはイスラム教ではなく、いかなる宗教にも一部に存在する狂信的な人間による仕業」であることを説いています。
つまり、こうした過激主義こそ、この会議に集ったあらゆる宗教指導者が協力して対処すべき問題なのです。
究極的には、あらゆる宗教が平和を説いており、人間を尊重しているからです。
Q:人種・民族間の融和に果たす宗教の役割は?
ムウォンベキ師:宗教は、人種・民族間の融和について常に最前線にあります。世界では今、人種差別のみならず、外国人嫌い(クセノフォビア)が深刻化しています。
これに関して、人種・民族・宗教間の調和を実現したカザフスタンに敬意を表します。この国では、(130以上の民族からなる)多くの人々が諸外国に家族のルーツを持ちながら、同じカザフ人として社会に共存しています。だからこそ、この会議をホストできているのでしょう。
カザフスタンが、宗教指導者間の対話と協力を前進させるこのイニチアチブを支援しつづけていることは称賛に値しますし、私たち代表団も一層努力すべきだと思います。
いかなる国でも、良い人悪い人を含めてあらゆる性格の人々が暮らしており、(人種・民族・宗教の違いに関わらず)皆人間なのだという事実を知ることが重要だと思います。
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