【ボストンIPS=アドリアーネ・アッペル】
南アフリカのデズモンド・ツツ名誉大司教が、訪問中の米ボストン州・オールドサウス教会で10月27日に行われた会議において、現在のパレスチナがおかれている状況を南アフリカのアパルトヘイトにたとえた。
ツツ大司教が話したのは、キリスト教徒のパレスチナ人から成る団体「フレンズ・オブ・サビール北米」(Friends of Sabeel North America)が開いた会議「パレスチナ・イスラエル関係におけるアパルトヘイトという見方」の場において。会議にはノーム・チョムスキーも参加した。
会議が始まる前には、ツツ大司教を招聘することに対してオールドサウス教会に苦情が寄せられていた。「中東報道の正確性を求める委員会」(The Committee for Accuracy in Middle East Reporting)は、「サビール」は「反シオニスト」的であるとして抗議した。会議の開かれた27日には、「イスラエルと連帯するキリスト教徒・ユダヤ教徒の会」(Christians and Jews United for Israel)のメンバーがツツ訪米に反対して会場の外でデモを行った。
ツツは、こうした声に負けず、イスラエルによるパレスチナ人家屋の破壊やパレスチナ人の移動制限などの例を挙げながら、パレスチナと南アのアパルトヘイト時代とを比較した。
ツツは、「『あれは昔、私の家だったのに』という声を聞くと、有色人種が何の人権も持たなかった南アフリカにおける経験と痛いほど同じだという感覚がします」と話した。
他方でツツは、ユダヤ人による抵抗の伝統から刺激を受けているとも語った。
また、政治と宗教の関係について、「豊かな暮らしをし、権力を持った人々は、宗教と政治を混同するなと批判する。しかし、『ツツ司教、あなたはあまりに政治的過ぎる』と貧者が言うのを私は一度も聞いたことがない」と断言した。
他方、チョムスキーは、米国がイスラエルに対して外交面・金融面の支援をしていることに聴衆の関心を向けさせた。
ツツ名誉大司教訪米のニュースについて伝える。(原文へ)
翻訳/サマリー=山口響/IPS Japan浅霧勝浩
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