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SDGs途上国、2030年を前に持続可能な開発目標達成はすでに困難か

途上国、2030年を前に持続可能な開発目標達成はすでに困難か

【国連IDN=タリフ・ディーン】

米国の政治家である故エヴァレット・マッキンリー・ダークセンの有名な言葉がある。「こちらに何十億ドル、あちらに何十億ドルと、(国の予算要求などでは大きな金額を各省庁が出してくるが)、すぐに実際にお金を工面する段階になっててんやわんやすることになる。(= 「机上の空論」ではいくらでもお金を出せるが、実際の話になると大変なことだ。)

Everett Dirksen/ Public Domain

おそらくこのセリフは、国連の17項目の持続可能な開発目標(SDGs)に当てはめるべきものかもしれない。途上国は、2030年までにこれらの目標を達成すべく、数十億ドル―今やそれは数兆ドルに跳ね上がりつつあるのだが―の確保という厳しい闘いを続けている。

しかし、ただの口約束だけではなく本当のお金を求めたこの訴えは、世界中で昂進するインフレ、西側ドナーによる開発援助の大幅削減、ウクライナ戦争の余波、コロナ禍に伴う都市封鎖(ロックダウン)が引き起こした悪影響などを原因とした資金不足によって、実質的に損なわれている。

「持続可能な開発目標の達成に向けて軌道に乗れない理由は主に2つある」と語るのは、「人権と環境に関する国連特別報告官」のデイビッド・ボイド氏である。彼は10月21日、国連総会に対して自身の報告を発表した。

David R. Boyd/ UNOHCHR

「第一は、諸国はSDGsを、本来は国際人権法に明確な根拠を持っている内容であるにも関わらず、単なる政治的願望と誤解していることである。すべての目標と、169のターゲットのうちの93%以上が国際人権条約に直接関連したものだ。」

「第二の問題は、目標達成に必要な資金が著しく不足していることで、毎年4兆ドル以上が不足している。」とボイド特別報告官は指摘した。

彼の報告書は、持続可能な開発目標達成に向けて毎年最大7兆ドルを確保可能な資金源について指摘している。

カリフォルニアにある著名な政策シンクタンク「オークランド研究所」のアヌラダ・ミッタル氏はIDNの取材に対して、資金調達に関する特別報告官の勧告を迅速に実行に移すべきだと語った。

貧困層と環境を犠牲にして富を蓄えてきた富裕層に課税し富の再分配を図ることが唯一の解決策だ、とミッタル氏は指摘した。

「億万長者たちはロケットに乗って『最高の一日』を宇宙空間で満喫でき、税金を払わず、政府を通じて政策を取り込むことができる一方で、数十億人の人々は人間の尊厳を満たす基本要素である安全な飲み水や食料を手にすることすらできていない。」

Anuradha Mittal/ Aukland Institute

ミッタル氏は、「国が公的資金を必要とするのは、政府が統治し、国民のためになる制度、政策、プログラムを導入するためです。しかし現実には、いわゆる『開発機関』が、億万長者たちや企業が世界を支配し続けられるように『ビジネスに親和的』な環境を作り出して支援しています。」と語った。

ボイド特別報告官は、「2030年に向けて世界が折り返し地点を回る中、現在の状況は、ほぼすべての国がほぼあらゆるSDGsとターゲットを達成できないであろうことを示しています。その場合、何十億もの人々が悲惨な状態に留め置かれ、すべての人にとって地球の未来の住みやすさが損なわれてしまいます。」と語った。

「他方で、SDGsが達成できれば、数十億もの人々の生活の質を劇的に改善し、すべての形態の生命を維持するために必要なこの稀有な地球を守ることにもつながります。」と指摘した。

Pooja Rangaprasad/ UN Photo

「国際開発協会」政策ディレクター(開発金融問題)のプージャ・ランガパラサッド氏は、国際租税回避や持続不可能かつ非合法な債務のようなグローバル経済上の大きな問題に取り組まない限り、SDGsの公約が満たされることはないだろうと語った。

数兆ドルの公的収入が、多国籍企業や裕福なエリートによる大規模な国際的租税回避を止めることができないために失われている。

ランガパラサッド氏は、「私たちは、民間部門もSDGsに貢献すべきであり、そのことは各国政府が民間や企業の富に対してより効果的な課税を行うことから始まるという認識を持っています。」と指摘したうえで、「このことを迅速に始めるための解決策が不足しているわけではありません。」と付け加えた。

9月の国連総会では、「G77プラス中国」がアフリカグループと共に、この欠陥のある国際課税体系の問題に対処するために国連での交渉を求める決議案を提出した。

同決議案は、「私達は、これらの解決策を実行し、SDGsを実行する財政的裏付けを得るために、世界の富裕国こそが主導すべきだと考えている。」と述べている。

ボイド特別報告官は、「今日のグローバル経済は、人々の搾取と地球の搾取という2本の柱に基づいており、これらは根本的に不公正で持続不可能であり、人権の完全な享受とは相容れないものである。」と指摘した。

SDGsは、経済を転換し、不平等を緩和し、環境を保護することによってこれらの問題に対処することを目的としている。

例えば、裕福な個人や公害に対する新たな課税、低・中所得国に対する債務免除、課税の抜け穴解消、環境破壊的な活動から持続可能な活動への補助金の振り向け、海外援助及び気候関連金融に対する長期的な公約の実行といったことが挙げられる。

ボイド特別報告官は、「クリーンで健康で、持続可能な環境に対する人権を国連が近年認知したことが、持続可能な開発目標を達成するための行動を加速させる触媒となることだろう。」と指摘したうえで、各国に対して、「大気の質を向上させ、誰もが安全で十分な水を利用できるようにし、工業型農業を健康で持続可能な食糧生産に転換し、世界の気候・エネルギー危機への対処に必要な行動を加速し、化石燃料を再生可能エネルギーに置き換え、生物多様性を保全・保護・回復するために人権基準に基づく(ライツ・ベースト)行動を直ちに取るよう訴えた。

また、ポスト2020生物多様性枠組の中心に人権に基づくアプローチ(RBA)を確保し、人々の身体と地球を無害化するよう各国に呼びかけた。

「持続可能な開発目標の17項目のそれぞれに人権に基づくアプローチを提供することは、効果的かつ平等なアクションを実施し、脆弱かつ周縁化された人々を優先し、『誰も置き去りにしない』SDGsの原則を実現する最善の方法です。」とボイド特別報告官は語った。

17項目からなるSDGsには、極度の貧困と飢餓の撲滅、経済的不平等と男女格差の解消、ヘルスケアの改善、持続可能なエネルギー、環境の保護、持続可能な開発のためのグローバルパートナーシップなどが盛り込まれている。

Frederic Mousseau/ Aukland Institute

「オークランド研究所」の政策責任者フレデリック・ムソー氏は、IDNの取材に対して、「各国政府が与信者や金融市場から経済成長という単一の目標を追求するように強要されているときに、世界がSDGsを達成できると期待するのは非現実的だ。」と語った。

ムソー氏は、経済成長が人間開発の引き金になるとの観念は、トリクルダウン理論が機能していない現実を無視していると指摘した。逆にこの観念は、富んでいる者をさらに富ませ、貧しい者と環境をさらに貧しくするという不平等を永続化させている。

「SDGsを推進するエンジンとして支持されている経済モデルは、自己利益と利潤を優先する既得権益によって動かされています。ボイド特別報告官は正しい診断を下し、合理的な勧告を行っています。」と、ムソー氏は指摘した。

ムソー氏はまた、工業型農業の段階的廃止は、問題を例証する賢明な提言の一つであると語った。アブラヤシ、アグロ燃料、飼料用のプランテーションを設立し、企業が商品を輸出できるようにするために、コミュニティーは移転を強いられ、生活は破壊され、水源は汚染され、森林は荒廃している。

ムソー氏は、「搾取的農業モデルは、経済発展を約束するものであるが、現実には、地域社会は破壊され、農民はプランテーション労働者にさせられ、『南』の豊かな生物多様性が富める者のために商品作物化され、『南』の経済は略奪され植民地化されている。」と主張した。(原文へ

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