著者は、タリバンによる政権奪還前にフィンランドの支援を受けて訓練を受けた、アフガニスタン在住の女性ジャーナリストです。安全上の理由により、名前は伏せられています。
【カブールIPS=匿名記者】
メーラギズは、アフガニスタン北東部バダフシャーン州出身の16歳の少女です。ルビーなどの宝石で知られるこの地は、「愛と美の地」としても親しまれています。
2021年にタリバンが政権を奪還して以降、女性たちの自由は厳しく制限され、将来への希望を断たれた生活を強いられるようになりました。その影響で、女性の間では精神的な危機や自殺が急増しています。
そんな中、メーラギズは「女性の声ラジオ」との出会いによって、人生を取り戻すことができたと語ります。以下は、彼女自身の言葉による体験談です。

かつて10年生の私は夢と希望に満ちていました。毎日、昨日よりも努力して、将来達成したい目標のために勉強を重ねていました。私の村には電気がなかったため、灯油ランプのそばで夜遅くまで勉強していたのです。いつか夢が叶うと信じて。
ある日、庭で日記を書いていると、クラスメートの叫び声が聞こえました。「もう学校に通えない、勉強できない」と。私は呆然とし、声も出せませんでした。
日が経つにつれ、「この状況は一時的なものだ」と信じ、勉強を続けました。世界の他の地域の少女たちのように成功したい、その一心で。
しかし、ついに私の中の何かが折れました。少女たちはいつ学校に戻れるのか?その問いに、答えは永遠にないかのようでした。私は戦う意欲を失い、不眠と食欲不振に陥り、夢見た世界は真っ黒に染まっていきました。
日々はどんどん苦しくなり、もう耐えられないと思いました。怒りと絶望のあまり、ある日、私はすべての教科書を燃やしてしまったのです。
その後は、未来のことを考えないように、家事や身体を動かすことに没頭しました。もう勉強しようとは思いませんでした。
ある日、母と買い物に出かけた帰りに、人生を変える出会いが訪れました。女性専用レストラン「ケドバヌ」で昼食を取っていたとき、バダフシャーンで最も人気のあるラジオ局「サディー・バノワーン」で医師がうつ病について語っていたのです。
その語り口に私はすっかり引き込まれ、食事の手を止めて耳を傾けました。母に目配せをして伝えると、彼女も真剣に耳を澄ませました。医師の言葉、そしてまるでアフガンの少女たちの苦しみを理解しているかのような司会者の質問に、私たちは釘付けになりました。
放送終了後、私はラジオ局に電話をかけ、個別に相談ができるか尋ねました。すると、喜ばしいことに、医師に直接相談できると教えてもらいました。
翌日、私はラジオ局の門の前に立っていました。期待と不安が入り混じった気持ちで。
アフガニスタンでは皆が自分の問題に追われており、私のような少女の悩みに耳を傾けてくれる人などいないのでは…そう思っていました。
けれど、あの放送で心を動かされた同じ医師に直接会い、相談できたことで、私は生きる力を取り戻すことができました。
「魂を傷つけたり、家族を苦しめたりするのではなく、別の生き方を探しましょう。神を信じましょう」と彼女は私に語ってくれました。
彼女の助言は、私の人生への姿勢を変えてくれました。困難に立ち向かう力をくれたのです。
友人に会いに出かけること、オレンジや赤、黄色のような明るい色の服を着ること、楽しいことを見つけること。そういった前向きな行動を促されました。
これまでに4回の無料心理療法を受け、精神状態は約30%改善しました。以前とは違い、今の私は、人生に鮮やかな色彩を見出せるようになったのです。
女性の声ラジオ:制限の中の灯火
「女性の声ラジオ」は2010年から放送を開始し、バダフシャーンの女性たちの間で特に愛されてきた人気番組です。現在は24時間体制で放送され、男女問わず多くの聴取者に向けて情報を発信しています。
しかし、2021年以降のタリバン政権下で、この女性専用ラジオ局にも厳しい制限が課されました。政権発足当初、広告に数秒の音楽が含まれていたという理由で23日間の閉鎖措置を受けたこともあります。
それでも放送再開後は、「マクタブ(学校)」という新番組を立ち上げました。これは、7年生から12年生までの少女たちのために、教師や専門家がカリキュラム教材をラジオで提供するものです。
また、心理療法番組「サイコセラピー」では、家に閉じ込められた多くの女性たちの心の支えとなるよう、専門医がうつ病やストレスへの対処法を紹介しています。将来的には、こうしたニーズに応えるために、大規模な心理療法センターの設立も計画されています。
さらに「女性の懐に抱かれた芸術」は、創造性と勇気にあふれた女性たちの取り組み―ビジネスや投資など―を紹介する番組で、他の女性たちにとってのロールモデルとしても機能しています。
新たな章の始まり
そして今、私は幸運にも「女性の声ラジオ」で働く機会を得ました。ここでの勤務は3カ月目に入りました。
初日に迎えてくれた仲間たちの笑顔と温かいハグは、今でも忘れられません。
私はここで「困難を乗り越えること」「他者を支えること」という、人生で最も大切なことを学んでいます。

世間にとって「女性の声ラジオ」はただの放送局かもしれません。でも、私にとっては“人生の大学”―幸せに生きる術を学ぶ場所なのです。
私は今、小さくても力強い家族の一員なのです。(原文へ)
INPS Japan/IPS UN Bureau
関連記事: