【カイロIPS=アダム・モロー、カレッド・ムーサ・アルオムラニ】
エジプトの反体制的運動である「ムスリム同胞団」に属するメンバーの逮捕が相次いでいる。
3月はじめ、国営日刊紙『アルアフラム』のオサマ・サラヤ編集長は、ムスリム同胞団の最高指導者メフディ・アケフをアルカイダやオサマ・ビンラディンに例えた。3月7日の独立系『アルマスリ・アルヨーム』紙によると、サラヤ氏は「(ムスリム同胞団とアルカイダの)両者とも、イスラム教徒の中に過激主義の文化を持ち込もうとしている」と述べたと伝えられている。
アケフ氏は、3月13日、ムスリム同胞団が暴力的手法を称揚しているとする政府の主張は誤っていると発言した。
しかし、3月に入り同集団のメンバー60人以上がすでに逮捕され、昨年12月以来の逮捕者はこれで約240人になった。「禁止集団への参加」「抗議活動の教唆」「政府転覆の企図」といったことが罪状となっている。
アケフ氏によると、この一連の弾圧は、政府が提案している憲法改正にムスリム同胞団が反対していることへの政府の反応だという。反改憲派は、改憲により現在の与党である国民民主主義党の権威が強められるだけだと批判している。
反体制派週刊誌『アルカラマ』のカンディル編集長によれば、政府はムスリム同胞団に対して挟み撃ち的な攻撃をかけているという。すなわち、憲法レベルにおいては、第5条・88条の改正によって同胞団のメンバーが選挙に出られないようにすることを狙い、他方で資産凍結によって同胞団を兵糧攻めにしている。
カンディル氏は、1950~60年代のナセル大統領時代における弾圧と現在のそれを比較した。ナセル時代には、貧困層に対する社会政策との組み合わせによりムスリム同胞団をうまく封じ込めることができたのに対し、現在は、貧困と失業が進む中、治安政策を中心に弾圧を図ろうとしているという。
エジプト・ムスリム同胞団に対する弾圧について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan