【ブダペストIPS=ゾルタン・ドゥジシン】
欧州の経済成長の牽引役となることを自負し、世界経済危機の影響を受けないと主張していた東欧地域にも、景気低迷の打撃が及びつつある。
中東欧の欧州連合(EU)加盟諸国でも、外資の流出が進み、通貨安が続き、経済成長の鈍化さらにはGDPの縮小も予測されている。
経済危機対策への高まる非難から辞任に追い込まれたハンガリーのジュルチャーニ首相は、1,800億ユーロの包括的救済策を西欧に要請。しかしこれは意見の分かれる要請であった。
ハンガリーのエコノミスト、アンドラス・ナジー氏はIPSの取材に応えて「地域は同質で、問題は同一だという印象を与えようとしたのは間違いだった。彼は交渉において有利な立場を生み出せると考えたのだろうが、十分に準備されたものではなく、他の国はこの戦術に賛同してなかった」と語った。
また、ナジー氏は「ハンガリー人は難局を訴えているが、チェコやポーランドは深刻な影響を受けることないと言っている。彼らはとても国粋主義的で、他の国々より優れているとのイメージを打ち出そうとしている。私は楽観論も悲観論も信じない。どうなるかはわからないのだから」と語った。
域内諸国間の協調はこれまでも見られなかった。ただ通貨保護のためにチェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニアの中央銀行が協調して口先介入を行っている。
また、フランスのサルコジ大統領が自動車メーカーに対しチェコの工場閉鎖を求めるなど、再び欧州に広がる保護主義の動向に対し、ポーランドのトゥスク首相の主導で連携の協議が行われている。
ナジー氏は「西欧は自身が厳しい状況にあるため支援に積極的でないことは明らかだ。しかしこれらの国のいずれかが危機に瀕すれば、支援するだろう」と言う。こうした支援はハンガリーとラトビアに実施されてきた。次はルーマニアと予測されている。いずれかの国の破綻がもたらす波及効果を西欧は恐れている。
東欧危機について報告する。 (原文へ)
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