SDGsGoal14(海の豊かさを守ろう)|麗水世界博覧会|今年の万博は、危機に瀕した海の救済がテーマ

|麗水世界博覧会|今年の万博は、危機に瀕した海の救済がテーマ

【国連IPS=タリフ・ディーン】

5月12日、韓国は今年最大の画期的なイベント「世界博覧会2012」を主催する。きらびやかな建築群が会場を埋め尽くす今回の万博は、1851年に蒸気機関を展示した近代最初の国際博覧会(英国ロンドンで開催された『万国産業製作品大博覧会』)に始まる161年に及ぶ万博の伝統を受け継いだものである。

ロンドン万博後の歴史を紐解くと、例えば1876年にアメリカ独立100周年を記念して開かれたフィラデルフィア万博では電話の発明が披露され、1885年のアントワープ万博(ベルギー)では、自動車が展示会の目玉となった。

アジア有数の経済大国韓国が主催する「2012麗水(ヨス)世界博覧会」のテーマは、「生きている海、息づく海岸」で、人類のふるさとである海で人間と地球の新たな共存を模索し目の前の環境問題を人類が力を合わせて克服しようという理念が掲げられている。

国連によると、世界の主な海洋生態系の約6割が、乱開発による被害を受けている。

中国で2010年に開催された前回の上海国際博覧会では、「より良い都市、より良い生活」がテーマに掲げられた。また2015年にイタリアで開催が予定されているミラノ国際博覧会のテーマは、「同市の文化遺産」になる予定である。

産業団地と海洋公園を擁する韓国南部有数の港湾都市麗水市で開催される「世界博覧会2012」では、21世紀における海洋科学技術の成果が紹介される予定である。

また、今回の万博は「グリーン博覧会」を称されているように、テーマ面で6月中旬に開催予定の国連持続可能な開発会議(リオ+20)との調和が図られている。

国連は韓国館に次ぐ最大規模の展示館「国際機関館」を建設し「2012麗水世界博覧会」では重要な役割を果たす予定である。

国連は、「地球表面の70%以上が海に覆われていることから、人類の命は海と密接に繋がっている」と指摘した上で、「海は地球上の淡水の40%以上と私たちが呼吸する酸素の75%を生成する、文字通り地球の心臓と肺の役割を担っているのです。」と述べている。

また国連は、「2012麗水世界博覧会」を通じて、海面上昇と地球環境の悪化により消滅の危機に直面している海、沿岸、島嶼地域の保存と持続可能な使用に対する意識を高めたいとしている。
 
主催者によると、「2012麗水世界博覧会」は長い万博の歴史の中で初めて環境指針が導入された博覧会で、カーボンニュートラルをはじめ、太陽光・海洋温度差エネルギーを使用した環境にやさしい建造物や交通システムなど、先端グリーン融合技術を駆使した施設整備と運営が行われる予定である。

韓国政府は、5月12日から8月12日まで開催する「2012麗水世界博覧会」の施設整備に19億ドルを超える投資を行ったほか、開催に合わせて、首都ソウルと麗水を結ぶ高速鉄道や道路の新規建設、観光インフラ整備に110億ドル近くの予算を投じている。

「2012麗水世界博覧会」には、3カ月の開催期間中に韓国内外から約1100万人の来場が見込まれている。

「2012麗水世界博覧会」担当国連事務局長サミュエル・クー大使は、IPSの取材に応じ、「これまでオリンピック、ワールドカップ、G20サミットをホストしてきた韓国にとって、世界博覧会の開催は、経済、技術、文化大国としての国のイメージを国際社会に示す絶好の機会です。」と語った。

またクー大使は、「今回の世界博覧会は、韓国の観光振興、雇用促進とともに、海洋資源に恵まれながらも従来比較的開発が遅れていた韓国南部沿岸の中心都市麗水市の発展に弾みをつけることになるでしょう。」と指摘した。

今回の万博は、政府のみならず、韓国大宇造船海洋を含む韓国の大手企業が共同参画し、韓国の伝統と最新技術が融合した一大イベントとなっている。

さらにクー大使は、「そしてなによりも、今回の万博を通じて、韓国の人々が海洋の保全と開発に対する共通の責任感を一層深め、国際社会との協力を一層推進していく機会になるでしょう。」と語った。

「2012麗水世界博覧会」には、105の国々と24の国連機関、並びに韓国の巨大複合企業が参画し、それぞれが最新技術を駆使した展示館を建設している。また、3カ月の会期中、韓国全ての道(地方行政区分)及び主要都市も博覧会会場に出展する予定である。さらに、米国、中国、日本、ドイツ、フランス、スペインを含む少なくとも50カ国が独自の展示館を開設する予定である。

さらに途上国50カ国が、太平洋ゾーン、大西洋ゾーン、インド洋ゾーンからなる共同展示館を設立し、参加する予定である。

各展示館の特徴をみると、フランス館が「海水からの脱塩」、ドイツ館が「海洋・沿岸科学技術の成果」、ロシア館が「海と人-過去から未来へ」、米国館が「多様性と驚異、そして解決策」等…「2012麗水世界博覧会」のメインテーマに合わせて、独自の趣向を凝らしたテーマを打ち出している。(原文へ

翻訳=IPS Japan浅霧勝

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