ニュース宗教コミュニティーが核兵器廃絶を呼びかける

宗教コミュニティーが核兵器廃絶を呼びかける

【ニューヨークIDN=サントー・D・バネルジー】

核兵器なき世界の実現に向けて、無条件にその義務を担い、核兵器禁止条約への署名、批准を支持することを通して、世界のヒバクシャの声に耳を傾け心に刻む。

さらに、犠牲者の支援や、汚染された環境の回復を積極的に進め、被害を受けたコミュニティーへの国際協力と支援を行うよう国連加盟国に求める呼びかけに、さまざまな宗教から53の団体・個人が加わった。

彼らは信仰者として、すべての効果的措置は相互に補完し合うものであり、各分野の前進がその他の分野の前進へと繋がることを認識するよう、諸国に訴えかけた。具体的には、核兵器禁止条約の発効、包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効、核分裂性物質の生産停止並びに世界中の備蓄の廃絶、核兵器生産施設の不可逆的な解体といった措置である。

彼らはまた、核兵器の精度の向上・多様化・使用への敷居の低下を企図するプログラムを中止するよう求めた。その他に彼らが挙げた効果的な措置としては、世界的な備蓄核兵器の廃絶がある。これらは、核不拡散条約(NPT)で規定された目標と約束と完全に一致しており、その実現に資する地球的な取り組みである。

彼らは信仰者として、核不拡散条約と核兵器禁止条約には、核兵器禁止条約への立場がいかなるものであれ賛成が可能な、核兵器の移転、他国の核兵器の取得の援助等といった、両条約に共通する中核的禁止事項が存在することを諸国は認識すべきだと訴えた。そして「これらは、核兵器禁止条約を支持するか否かに関わりなく、支持しうる内容だ。」と述べている。

5月1日にニューヨークで発表されたこの共同声明で、「核兵器なき世界」をめざす幅広い宗教団体・個人らは「NPTに定められた、核軍縮の義務履行の具体的かつ実際的な一歩として、すべての締約国がそうした禁止事項の強化に関する建設的な対話を行うよう求める。」と述べている。

2020NPT再検討会議第3回準備委員会の市民社会セッションで発表された共同声明は、世界教会協議会(WCC)のエミリー・ウェルティ氏が「核兵器を憂慮する宗教コミュニティー」を代表して読み上げた。

キリスト教・イスラム教・ヒンズー教・仏教などの各宗教から53団体・個人が趣旨に賛同し名を連ねた共同声明はこのように述べている。「私たちは、破壊や汚染の恐怖から自由な世界で生きる基本的人権を共有し、その価値を認識している。核兵器の無差別で破壊的な力は、私たちの信仰の伝統と全く相容れないものであり、その完全なる廃絶に向けて声をあげ続けることが必要である。私たちは、充実した人生を促し、人間の尊厳が守られるよう、人々が善の意志をもってより良い世界に向けて行動し、政策や制度を形成していく力を持っていることを信じる。私たちにとって、核兵器禁止条約に賛同が集まっていることは、大きな喜びと人類へのさらなる希望となっている。」

これは、「核兵器を憂慮する宗教コミュニティー」が2014年4月以来発表してきた11本目の共同声明である。同コミュニティーはこれまで、「核兵器の人道的影響に関する国際会議」やNPT再検討会議準備委員会、国連総会、核兵器禁止条約交渉会議などの場を利用して、諸宗教による共同声明を発表してきた。

パックス・クリスティ・インターナショナルの国連代表を務めるメアリ・T・エルニック氏は、「私たちの信仰心は、暴力や破壊、絶望の力の虜になることを拒絶する力を与えてくれます。(このコミュニティーを構成している)様々な宗教の間には違いもはありますが、すべての宗教が、あらゆる人々、そしてすべての生きとし生けるものが本質的に互いにつながっていることを認識しています。」と語った。

エルニック氏はまた、「人類と地球そのものは、私たちが積極的に尊重し保護すべき、貴重で壊れやすい天恵に他なりません。」と指摘したうえで、「核兵器は、人類のみならず、地球そのものの存続を脅かす存在です。私たちが知り愛するすべてのものを暴力的に絶滅させる脅威が迫っているなか、私たちは信仰者として、この恐ろしい兵器による恐怖がなくなる日まで、手を取り合い、声をあげ、決然と行動せずにはいられません。」と語った。

創価学会インタナショナル(SGI)の河合公明平和・人権部長はさらに、「対話に向けた一人の努力は、最も破壊的な形で核兵器に示された、自己中心性と相互依存に目を閉ざす人間の傾向性に対峙することを促します。核兵器廃絶には、誰にでも果たすことのできる役割があります。」と付け加えた。

SGIは、60年以上にわたって核廃絶に向けた取り組みを行ってきた、世界に1200万人以上のメンバーを擁する仏教団体である。

共同声明の全文と、声明の趣旨に賛同したキリスト教・イスラム教・ヒンズー教・仏教の53団体・個人のリストはここで参照することができる。(原文へ

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This article was produced as a part of the joint media project between The Non-profit International Press Syndicate Group and Soka Gakkai International in Consultative Status with ECOSOC.

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