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|中央アフリカ共和国|被害児童に教科書を

【ナイロビIDN=バブカール・カシュカ】

中央アフリカ共和国は、近年における政府軍と反政府武装勢力による散発的な衝突に加えて、数十万人に及ぶ難民を生みだしたコンゴ民主共和国の政情不安の影響を受けている。 

国連諸機関はできる限りの支援を行っているが、国際連合児童基金(UNICEF)は、同国の紛争に巻き込まれた子供達145,000人を対象に、教科書(国語、算数、科学)の支援を行っている。

UNICEFは今日までに、ベルギーの資金援助を得て、数学の教科書60,000冊、フランス語(公用語)教科書60,000冊、教師用ガイドブック2,400冊を中央アフリカ共和国教育省に寄贈している。

国連人道問題調整部(OCHA)によると、中央アフリカ共和国における就学率は低く、2008年の調査によると男子が56%、女子が49%であった。また、退学率も特に女子が高く54%に及んでいる。さらに、教科書不足が深刻で、生徒9人につき2冊しか普及しておらず、教育の質を向上するうえで大きな障害となっている。 

国際支援が不可欠 

中央アフリカ共和国の状況は深刻である。 

「10年にわたる政府軍と反政府武装勢力間の抗争と経て今年ようやく選挙に向けた準備が進められている中、中央アフリカ共和国を政治的危機状態に戻らないようにするためには、国際支援が不可欠です。」と、サーレワーク・ゼウデ(Sahle-Work Zewde)国連事務総長特別代表は語った。 

ゼウデ特別代表は、「とりわけ2010年4月末までに元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)作業を完了させ無事選挙を実施できるかどうかが、その後の中央アフリカ共和国の政治プロセスの方向性を決めることになります。国内で進行中の仲介努力や平和イニシャチブを通じて、来る選挙に向けて新たな政治危機が発生しないよう、引き続き取り組んでいく必要があります。」と強調した。 

ゼウデ特別代表は、今日における中央アフリカ共和国の政情不安の背景には、和平プロセスに未だ参加していない武装勢力と、国境を越えて侵入してきたウガンダの反政府武装勢力「神の抵抗軍」の暗躍があると語った。 

ゼウデ特別代表は、平和合意に署名した様々な反政府武装組織の元兵士の社会復帰作業を加速するとともに、「現在DDRプロセスの対象となっていないカラ、グーラ(Goula)、ロウンガ(Rounga)等の少数民族民兵や各地の自警団を含む各種武装勢力の武装解除も進めていかなければならない。」と語り、未だ和平プロセスに組み込まれていない各種武装グループの武装解除を進めるよう呼びかけた。 

潘基文国連事務総長は、安全保障理事会への報告の中で、「元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰(DDR)作業開始がこれ以上遅れることは、予定された選挙に悪影響を及ぼすばかりか、武装解除を待つ元兵士達の不満や暴力への回帰につながりかねない。」と述べ、迅速な武装解除と動員解除の重要性を強調した。 

コンゴ難民 

また中央アフリカ共和国は、南に隣接するコンゴ民主共和国の政情に大きく影響を受けている。2009年10月末、コンゴ北西部にあたる赤道州ドンゴ地域の漁業・農業権を巡って、エンイェレ(Enyele)族の民兵がムンザヤ(Munzaya)族を襲撃した。 

この地域紛争は赤道州全体に広がり、北西に隣接するコンゴ共和国に114,000人、コンゴ民主共和国の他の諸州に60,000人、そして北に隣接する中央アフリカ共和国に17,000人が難民として州境/国境を越えて流込していった。 

ジョン・ホームズ国連人道問題調整官(事務次長)は、「コンゴ共和国の国民は、再びコンゴ民主共和国の内戦から逃れてくる難民を寛大に受け入れた。」と語った。 

コンゴ共和国のアンフォンドの南に位置するリランガの、ウバンギ川沿いで暮らす難民の数は10万人を超えるまでに増えた。難民家族は、全長500kmに及ぶ川岸に沿い、100以上の小人数の集団に分かれて点在している。国連によると、その多くの地域では、難民数が地元村民の数を5対1の割合で大幅に上回っている状況である。 

旧フランス植民地の中央アフリカ共和国は、コンゴ民主共和国、スーダン、チャドの南部に隣接する「不安定な三角地帯」に位置し、アフリカでも最も貧しい10カ国に位置している。人口の95パーセントの人々は毎日2ドル以下で生活しており、同国の人間開発指標は0.369で182カ国中179位である。人口のうち100万人以上は孤立し、保健医療、教育、その他基本的なサービスを受けられない状況におかれている。また、20万人もの国内避難民が存在し、農業が崩壊しているため、食糧確保が不安定な状態にある。 

中央アフリカ共和国の国土は623,000平方キロで人口は2008年現在440万人、首都はバンギである。国土の大部分が標高600m以上の台地で北部にはボンゴ山地が聳え立つ。中部から北部にはサバンナが広がり、南部には熱帯雨林が広がる。また北部と南部にはウバンギ川(南のコンゴ川に注ぐ)、シャリ川(北にチャド湖に注ぐ)が流れている。 

中央アフリカ共和国の主な輸出産品は地場産アルコール、ダイヤモンド、象牙であるが、中でも最重要品目はダイヤモンドで、総輸出額の40%から55%を占めている。しかし中央アフリカ共和国から産出されるダイヤモンドの30%から50%が非合法な手段で国外に持ち出されている。

翻訳=IPS Japan

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