【ジュネーブIDN=ジャヤ・ラマチャンドラン】
ガザ地区(長さ50km、幅5~8kmの狭く細長い種子島ほどの面積に200万人の人が住む 世界で最も人口密度が高い場所)の状況は壊滅的であり、ガザ北部は差し迫った飢饉に直面している。3月18日に発表されたIPC(総合的食料安全保障レベル分類)パートナーシップによる最新の分析によると、他の地域も危機に瀕している。ガザ地区への大幅な食糧搬入が許可されない限り、100万人以上が壊滅的な飢餓に直面すると予想されている。
ここ数ヶ月の敵対行為の前には、5歳未満の子どもの0.8%が急性栄養失調に陥っていた。しかしこの報告書によると、北部では、2月の時点で、この数値は12.4~16.5%にのぼっている。
世界保健機関のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、「IPCの発表は、ガザ地区の人々が直面している悲惨な状況を反映しています。この危機が起こる前、ここには住民を養うのに十分な食糧があり、栄養失調になることはまれでした。今、人々は死に、さらに多くの人々が病気になっています。」と語った。
食料、水、その他の必要物資の供給を大幅に、かつ早急に増やさなければ、状況は悪化の一途をたどるだろう。既にすべての世帯が日々の食事を抜き、大人は子どもが食べられるように食事を減らしている。
数千人の生活と健康への長期的影響
WHOは、現在の状況が数千人の命と健康に長期的な影響を及ぼすと警告している。今この瞬間も、子どもたちは栄養失調と病気の複合的な影響によって命を落としている。栄養失調になると、重症化しやすくなり、回復が遅れたり、病気に感染して死亡したりしやすくなる。
栄養不良、栄養価の高い食品の摂取量の少なさ、繰り返される感染症、保健衛生サービスの欠如が長期的に及ぼす影響により、子どもたちの成長は全体的に伸び悩む。これは、将来の世代全体の健康と幸福を損なうことになる。
WHOとIPCのパートナーは、医療従事者と患者のために医薬品、燃料、食糧を届ける危険度の高いミッションを実施しているが、物資を届けるよう要請しても、しばしば妨害されたり、拒否されたりしている。道路が寸断され、病院内やその近くでも戦闘が続いているため、配達できる物資は少なく、遅々として進まない。
IPCの報告書は、WHOや国連のパートナー、非政府組織(NGO)が数カ月にわたって目撃し、報告してきたことを裏付けている。私たちのミッションが病院に到着すると、疲れ果てて空腹を訴える医療従事者に会い、食料や水を求められる。救命手術や手足の欠損から回復しようとしている患者、がんや糖尿病の患者、出産したばかりの母親、生まれたばかりの赤ん坊など、飢えとそれにつきまとう病気に苦しむ人々を目の当たりにする。
WHOは現在、栄養クラスターのパートナーとして、ラファの栄養安定化センターを支援し、医学的合併症を伴う重度の急性栄養失調の子どもたちを治療している。
「私たちは、ガザ北部のカマル・アドワン病院と、ラファの国際医療部隊野戦病院の2つのセンターの設立を支援しています。WHOは、アル・アクサ病院とアル・ナジャール病院の小児科病棟に対し、栄養物資や医薬品の提供、医療従事者のトレーニング、母乳育児を含む乳幼児への適切な授乳方法の普及などを通じて支援しています。」とWHOは語った。
さらなる栄養センターが必要
WHOは、合併症を伴う栄養不良に対処する医療従事者の訓練を行っている。また、治療を必要とする子どもたちのために、病院やセンターに医薬品を供給する支援を行っている。
ガザの主要な病院すべてに、栄養センターと安定化センターを増設しなけれ ばならない。栄養不良の管理を地元で拡大するためには、地域社会そのものが支援を必要としている。
WHOをはじめとする国連パートナーは、イスラエルに対し、より多くの 検問所を開放し、水、食料、医薬品、その他の人道支援物資のガザ地区への流入と輸送を加速化するよう求めている。(原文へ)
INPS Japan
*INPS Japanでは、ガザ紛争のように複雑な背景を持つ現在進行中の戦争を分析するにあたって、当事国を含む様々な国の記者や国際機関の専門家らによる視点を紹介しています。
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