SDGsGoal16(平和と公正を全ての人に)ルワンダ国際戦犯法廷が21年に亘る審理を経て歴史的役割を終える

ルワンダ国際戦犯法廷が21年に亘る審理を経て歴史的役割を終える

【INPSニューヨーク=編集部】

ルワンダで80万人を上回る被害者(大半がツチ族、それに一部穏健派フツ族トゥワ族も犠牲になった)を出したルワンダ虐殺に責任を有する者たちを追訴すべく国連が21年前に設置したルワンダ国際戦犯法廷が、人道に対する罪を断罪した45件にのぼる判決を経て全ての審理を終え、昨年末の12月31日に解散した。

ルワンダ国際戦犯法廷は、第二次世界大戦終結直後のニュルンベルク裁判並びに極東国際軍事裁判以来、一国の元首を断罪した初めての国際法廷となった。同法廷は虐殺事件後に暫定首相に就任したジャン・カンバンダ氏を虐殺に関与したとして1998年に終身刑に処した。

Jean Kambanda/ UNICTR

1994年11月8日に設置された同国際法廷はまた、集団殺戮(ジェノサイド)の罪を犯した者に有罪の判決を下した史上初の国際法廷となった。同国際法廷を設立した国連安保理は、同法廷を解散するにあたって、「正義への強いコミットメントと、今後も免責と闘っていく」決意を再確認するプレス声明を発表した。

同国際法廷はまた、レイプを刑事国際法において定義し、大虐殺を行う手段と認めた初めての国際法廷でもあった。さらに画期的な点としては、集団殺戮に参加する民衆を煽る放送を行ったメディア関係者の罪も本国際法廷で初めて断罪された。

同国際法廷では、タンザニアのアルーシャ市における21年に亘る審理を通じて、約3カ月に亘ってフツ族強硬派らによって引き起こされたルワンダ虐殺に参加したとして終身刑を最高刑に61人に対して有罪判決が言い渡された。一方、14人が審理の結果無罪を言い渡され、10人が本国の裁判所に送致された。

起訴された中には、軍や政府の高官、政治家、実業家、聖職者、民兵組織の指導者、メディア責任者等が含まれている。同国際法廷は、「100日に及んだ流血の日々の中で...想像を絶する暴力が国(=ルワンダ)を覆い尽くした..殺害による死亡率はナチス・ドイツによるホロコースト政策ピーク時の実に4倍の規模である。」と指摘している。

ルワンダ国際戦犯法廷は、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷とともに、集団殺戮、人道に対する罪、戦争犯罪、個人と上官責任に関する法整備の充実を図るなど、信頼のおける国際司法制度を確立するうえで、先駆的な役割を果たした。

国連安保理のプレス声明は、「ルワンダ国際戦犯法廷は、国内の和解プロセス、平和と安全の回復、加害者に対する免責との闘い、さらに、とりわけ大量殺戮に関する国際刑事司法の発展に多大の貢献を果たした。」と称賛した。

同プレス声明はまた、2010年に決定した同法廷の国際残余メカニズムは、同法廷の終了によって指名手配犯に免責の可能性が生じることがないよう確実にする上で不可欠である点を強調するとともに、全ての国家に対し、9名の指名手配犯の逮捕および起訴を実現するよう同国際残余メカニズムおよびルワンダ政府と協力していくことを求めた。

「ルワンダ国際戦犯法廷は、21年間の間に、5800日に及ぶ審理を実施し、93人を起訴したほか、55の一審判決、45の控訴判決を下しました。また審理に際しては、想像を絶する極めて衝撃的な経験について勇気を振り絞って語った3000人を超える人々による力強い証言に耳を傾けました。」とヴァウン・イェンセン裁判長は、国連安保理に対して語った。(原文へ

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