地域アジア・太平洋|インド|パテント裁判、世界的問題に

|インド|パテント裁判、世界的問題に

【ブリュッセルIPS=アン・デ・ロン】

「国境無き医師団」(MSF)を始めとする16団体は、スイスの大手製薬企業Novartisが、インドのパテント法違反を理由に起こした裁判の行方に注目している。

発展途上国に対する低価格医薬品のアクセス拡大に努めるMFS基本薬剤アクセス・キャンペーン(Campaign for Access to Essential Medicines)のEllen‘t Hoen政策部長は、「Novartisが勝訴すれば、インドの低価格医薬品に頼っている世界の患者が犠牲になる。我々が40カ国以上で使用しているエイズ薬剤の84%はインドの製品で、安価故に現在6万人の治療が可能となっているのだが、パテント薬剤の使用が義務化されれば、その数は大幅に減るだろう」と語っている。

 2005年現在、インドはWTOのTRIPS(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)に拘束されることになったが、依然ジェネリック医薬品の最大メーカーの地位を維持している。(2005年まで、パテントは製造方法のみに認められ、製品自体には適用されなかったため、インド製薬会社は独自の製造方法を開発してジェネリック医薬品の製造を開始した。)

Novartisは、「インドはTRIPSに違反しており、我々は開発投資から利益を得る権利がある」と主張。同社スポークスマンは、「基本薬剤へのアクセスが問題となるのは承知しているが、NovartisはMSFに協力し、多額の医薬品を無料で提供している」と語っている。

今回の裁判は、インドの特許庁がNovartisの癌治療薬Gleevecの特許申請を「トリビアル改良」であるとして拒否したことから始まった。トリビアル改良とは、例えば灰のような味を取り除くなどの瑣末な改良のことで、ベルギー・ゲント大学のパテント専門家Sigrid Sterckx教授は、この様な改良は新たなパテント取得には値しないとしている。

Novatisは、これを不服としてGleevecだけでなく、インド政府、インドのジェネリック医薬品メーカー、癌患者グループを相手どりパテント法そのものに異議を唱える裁判を起こしたのである。MSFを始めとする16団体は、Novartisに訴訟の取り消しを求める公開状を発出した。それには、スイスのルース・ドレフュス元大統領も署名している。

Sterckx教授は、1998年に大手製薬会社が南アフリカのマンデラ政権を相手取り起こした訴訟に言及し、「彼らは過去の失敗から何も学んでいない」と語っている。(対南アフリカ訴訟は、結局2001年に撤回された。)大手製薬会社Novartisがインド政府を相手取って起こしたパテント訴訟について報告する。(原文へ

翻訳/サマリー=IPS Japan

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