【アブダビWAM】
「イランはGCC諸国の主権を尊重すべきであり、その安定を脅かすような動きをすべきではない。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙「ガルフニュース」は4月22日付の論説の中で報じた。
「湾岸諸国とイランの外交関係は長年に亘って多くの問題を抱えてきた。イランに対する不信感が湾岸諸国全域に蔓延したのは、1979年のイランイスラム革命前のパフラビー王朝時代に遡る。」と同紙は指摘した。
「その後、傲慢な帝政が瓦解したことで、湾岸諸国の間で一時イランとの関係改善への期待が高まったことがあるが、残念ながらイスラム共和国政権も前政権と大差なかった。」と同紙は嘆いた。
「強国を志向し独自の路線を進もうとすること自体はイランの(独立国としての)権利である。しかしそのやりかたは誤っており、近隣のアラブ諸国の疑念に火をつけている。」と同紙は報じた。
「宗派の違い(シーア派が大勢を占めるイランに対して近隣のアラブ諸国はスンニ派が大勢を占める)が問題をさらに複雑にしている側面があるのは事実である。しかしアラブ諸国は、イランの強引な政策や主張に対して寛大に対応してきた。イランは最近も、国連にバーレーンの内政に関する苦情を提出するなど、明らかな内政干渉にあたる行動にでたが、湾岸諸国は引き続き、イランに対して理性的な相互尊重の原理に則った対応を求めた。」と同紙は解説した。
「これこそ、シェイク・アブダッラー・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーンUAE外務大臣が4月20日の会見で強調した点である。同外相は、『全てのGCC加盟国がイランに求めているのは近隣諸国の主権と領土の統合を尊重してほしいという点のみである。』と語った。」と同紙は報じた。
湾岸諸国はイランとの良好な関係構築を望んでおり、イスラム共和国に対して、近隣諸国に敬意を払い、湾岸地域の安定に建設的な役割を果たすよう強く求めてきた。「しかし、イランは既に緊張関係にある湾岸地域において、さらなる緊張を高める動きを頑なに継続しているように思われる。」と同紙は報じた。
「イラン政府は、過去30年の歴史の中で、自国が戦争や国際経済制裁に晒される中、湾岸諸国が国際社会への関門となり、イラン国民の生活に役立ってきた点を忘れるべきではない。イラン政府は、その見返りに、GCC諸国の主権と政治的統合を尊重すべきであって、これらの国々の安定を脅かしたり、安全保障を危険にさらすようなことをすべきではない。」とガルフニュースは、結論付けた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan戸田千鶴
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