ニュース|中東|アラファト議長暗殺にイスラエルの秘密武器が関与か

|中東|アラファト議長暗殺にイスラエルの秘密武器が関与か

【シャリジャWAM】

中東の衛星放送アルジャジーラは3日、2004年にフランスの病院で死亡したヤーセル・アラファトパレスチナ自治政府議長(当時)の死因について、『独自の科学調査の結果、放射性物質ポロニウムによって毒殺された可能性が高い』と報じた。これにより、これまでもあったアラファト議長の死を巡る憶測がさらに広まりを見せている、とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙が報じた。

「一方この報道は、生物化学兵器を開発して敵の抹殺に使用するイスラエルの非合法活動に対する注目を集めることとなった。科学調査の結果から、アラファト議長の暗殺へのイスラエルの関与、とりわけ同国はポロニウムを保有するだけの技術と施設を当時既に有していたとの嫌疑が強まっている。イスラエルは生物化学戦争に備えた高度な研究施設や科学者集団を擁しており、当時イスラエル諜報機関は、ポロニウムを使用した暗殺を遂行する能力を有していた。」とガルフ・ニュース紙(本社:シャリジャ)は6日付の論説の中で報じた。

 同紙は、「しかしながら、アラファト議長は2004年10月の段階で既にイスラエル軍に包囲されたラマラの議長府で病に伏しており、その後パリに搬送後11月11日に死亡したことを考えれば、イスラエルはアラファト議長を暗殺する必要はなかった。」と付加えた。

「アラファト氏が病に伏したのは、彼の政治キャリアの中で最も脆弱な状態にあった時であった。当時アラファト氏は抑鬱状態から情緒不安定で言動に一貫性を欠いており、部下の統率もとれていない状態にあった。従って、どちらかといえば、イスラエルが恐れていたのは、より政治的手腕に長けた人物がアラファト氏に取って代わり、イスラエルにとってより大きな脅威となるというシナリオだった。」

「だからと言って、アラファト氏の暗殺の黒幕として、イスラエルが容疑者リストから外されるということにはならない。アラファト氏が亡くなる少し前、イスラエルのアリエル・シャロン首相(当時)は、いくかの機会において、アラファト氏がイスラエルにとっての『問題』の一部となっており、既に和平に向けた努力を共に進めていくパートナーではなく、『敵と見做している』と語っている。」
 
「シャロン首相はテレビ番組のインタビューで、アラファト氏の安全を保障している理由について追及された際、『(アラファト)問題』には彼独自の方法で対処している、と答えている。この意味するところは、イスラエルに嫌疑が及ばないよう自然死を装った形でアラファト議長を殺害するよう、既に秘密工作員に命令を下していたということだろうか?イスラエル治安部隊は、パレスチナ勢力内部に工作員を潜ませており、彼らを使ってアラファト氏にポロニウムを投与することが可能だった。」

「2004年当時、ポロニウムは毒殺に使用する物質としては知られていなかったので、イスラエルは自らの犯行が露見するリスクをほとんど懸念する必要がなかった。」

「イスラエルは、長年に亘って秘密兵器を開発し政敵の排除に使用してきたが、これは国が後ろ楯となったテロに他ならず、こうした違法行為が今後も許されるようであってはならない。イスラエルによるこのような行為は、阻止されなければならない。」とガルフ・ニュース紙は結論付けた。(原文へ

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