【マハラ・エル・コブラIPS=エマド・メカイ】
エジプト北西部にあるアル・マハラ繊維公社の労働者は、会長のボーナス支払い停止決定に抗議し5日間のストを決行した。ムバラク政権の度重なる圧力で弱体化していた労働組合にとって、ストライキは1988年以来初のことである。
労働者は、年額35ドルという小額ボーナスの支払いを停止するのは、世界銀行の民営化提案に従い入札企業の便を図るためだとして、直ちに抗議行動を開始。集会では、数千人の労働者が会長の名前が書かれた棺を担ぎ、会長退陣と役員/業績の調査を要求した。
いつもは乱暴なエジプト警察も、デモ参加者の数に圧倒されたのか鎮圧行動に出ることなく、政府の介入もなかった。メディアも同事件を大きく取り上げ、反政府スローガンを叫び、棺を担いだ労働者の写真が新聞の一面を飾った。
同デモは、労働活動家/労働者にとって様々な問題を提起するまたとない機会となった。
マハラ工場で働くサイード・アブダラ氏は、「羊毛の屑で汚染された空気で喘息になった。我慢にも限界がある」と抗議。アイマン・タハ氏は、「政府は、ストはイスラム同胞団が指揮していると批判しているが、同胞団メンバーは組合選挙の前に逮捕され誰も残っていない。彼らは自らの行動を省みることなく、何でもイスラム同胞団のせいにする」と語った。
また別の労働者は、「経営側は厳しい労働により肝臓病になった同僚を首にしたが、本来なら保健または年金を給付すべきだ」と指摘。多くの労働者は、劣悪な労働条件、低賃金、管理者と労働者の給与格差に不満の声を上げた。
労働者が一様に批判するのが不正である。彼らは、「管理者は数百万ドルで会社の資産/土地を売却したが、労働者には何の保障もない。経営トップは、正規の手続き無しに親族/友人を経営に参加させている」と批判した。
ストの結果、政府は約束したボーナスの支払いを認めると共に提起された問題への対応を約束した。ある労働者は、最初からデモに参加すれば良かったと残念がっている。
政府に大幅な譲歩を認めさせたエジプト繊維公社のストライキについて報告する。(原文へ)
INPS Japan
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