【カトマンズNepali Times=クンダ・ディキシット】
The Napal Timesは、INPS Japanが創価学会インタナショナル(SGI)と推進している「Toward A Nuclear Free Words(核なき世界に向けて)」と「SDGs for All(万人のための持続可能な開発目標)」メディアプロジェクトに2024年4月から参画しています。本プロジェクトに参画しているジャーナリストは、世界で起こっている環境、紛争、人権問題等について、他人事ではなく自らの問題意識として捉え、身近にできることから変革の主体者となる「同苦の精神」を持ち合わせたSGIメンバーをはじめとした読者の存在を励みに、世界各地から最新の分析記事を配信してまいります。
世界が気候変動という緊急事態に直面するなか、環境対策と報道の自由のための闘いは相互に絡み合っています。
私たちは今日、5月3日の「世界報道自由デー」と第3回ヒマラヤ・メディア・メラを記念してここに集まりました。今年私たちは、報道の自由と環境活動の関連性に焦点を当てるため、ユネスコのテーマ「地球のための報道・環境危機に直面するジャーナリズム」を採択しました。
人間の活動が世界的に自然を絶滅させ、地球上のすべての生命を脅かしているにもかかわらず、こうした問題を報道するジャーナリストたちは、脅迫や威嚇に直面したり、罵詈雑言の荒らしによって沈黙させられたりしています。フィリピン、ブラジル、メキシコ、インドでは、違法伐採や採掘について報道しているジャーナリストが殺害されたことさえあります。
特に、地元の環境犯罪や悪質な政治家とのつながりを調査する記者は危険に晒されています。気候否定派は、二酸化炭素排出者や自然エネルギーへの取り組みを訴えるジャーナリストを恐怖に陥れるため、ボット軍団(ソーシャルメディア上で偽のアカウントとして機能し、情報を操作したり人々を威嚇するために使われるインターネット上で自動的に活動を行うソフトウェアプログラム)を展開しています。
環境ジャーナリストへの脅威が、民主主義、多元主義、表現の自由を蝕んでいるのと同じところから来ているのは偶然ではありません。
昨年のメディアメラでは、民主主義の後退、報道の自由への脅威、気候の崩壊、紛争について議論しました。それらの問題はまだそこにありますが、今年唯一違うのは、それらがすべてはるかに悪化しているということです。
報道の自由とジャーナリストの安全は、世界中で危険に晒されています。ジャーナリスト保護委員会は、昨年10月7日以来、少なくとも100人のパレスチナ人ジャーナリストがガザでイスラエル軍に殺害されたと推定しています。これは、第2次世界大戦の6年間に殺害されたジャーナリストの数よりも多い。
気候崩壊の新たな兆候がいたるところで現れています。昨年の異常気温の記録は、今年すでに私たちの地域や世界中で破られています。パリ協定が目標に掲げた、2050年までに世界の平均気温を産業革命時の1.5℃に抑えるというというレベルは2024年に既に到達されようとしています。
ネパールでは、気候による深刻な干ばつもありますが、政府の怠慢と無関心のせいもあり、かつて経験したことのない山火事と大気汚染の緊急事態が起きています。
気候変動と環境の脅威は、マスメディアが存亡の危機に直面しているときに起こっています。メディア各社は生き残りに必死であり、ジャーナリストたちは給料が支払われなかったり、職を失ったりしています。
私たちの地域では、権威主義政権や選挙で選ばれた独裁者が、取り巻きを通じてマスメディアを懐柔しています。番犬は飼い犬と化しているのです。弱体化したメディアは、現代の切実な問題を独自に取り上げることができません。
民主主義の後退とメディア抑圧の逆風はネパールにも吹いています。ネパールには現在、アジアで最も自由なメディアがありますが、私たちは警戒を怠らず、自由を守るために自由を十分に行使しなければなりません。(原文へ)
INPS Japan/Nepali Times
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