【カトマンズIPS=マリカ・アルヤル】
ネパールの新しい制憲議会(CA)は、開発促進策として地方への権限委譲復活を検討することになる。そのためには、反政府勢力のマオイストが内戦中に解体した村落・地区開発委員会を再建する必要がある。4,000あった村落開発委員会(VDC)の3,000が爆撃を受け、その上部組織の地区開発委員会(DDC)は適切に機能できなくなっている。
首都カトマンズから40kmほどのパナウティでは、2006年3月に爆撃された地方政府の建物が繁茂する植物の中で廃墟となっている。その4ヶ月後、マオイストは内戦を終結して和平合意に至り、ネパール共産党毛沢東主義派(CPN-M)として選挙に勝利して制憲議会を形成した。新たな議会の初仕事は共和制の宣言と240年続いた君主制の廃止だった。
10年前、草の根の民主主義と地方開発の直接的結びつけが始動していた。1998年に地方自治法が議会で可決され、因習的文化的障害を打破して、政策決定だけでなく村および地区の委員会の法的枠組み作成の権利も委譲された。こうした委員会により、地方分権化が開発をもたらし始めていた。だがその後の内戦により、地方自治法は宙に浮いた。
専門家は、「CAは過去の過ちから学ぶべき」で、ネパールは国連のミレニアム開発目標達成を含め、さまざまな国際的誓約を行っているが、「政府はまず国家プロジェクトに注目してその実施を地方に任せるべきで、地方分権を機能させるために破壊されたVDCとDDCの再建を始める必要がある」という。
だがそのためには資金が必要である。1998年の地方自治法により地方は権限を与えられたが、過去5年間VDCを運営してきたのは政府官僚だった。そうした官僚は地方の問題を理解せず、移動によって責任を逃れてしまう。パナウティでは地方行政府が失われ、中央と村とのつながりが破たんしている。
南アジアで地方分権に取り組んだ最初の国であるにもかかわらず、ネパールは戦争により、そして今は地方選挙の準備不足により、その進展が遅れている。だが再生は困難ではない。2007年の暫定憲法は連邦制を是認した。だが連邦制でも不十分な地方分権から生じる権力の集中を危惧するものもいる。草の根の運動にまでの権限の移譲が期待される。
ネパールの開発のための地方分権の動きについて報告する。 (原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan