【アスンシオンIPS=デイビッド・バルガス】
ストロエスネル独裁政権(1954~89)の人権犯罪調査を目的に2003年に創設された「人権・正義委員会」が8月28日、市立アスンシオン劇場において4年に亘る調査の最終報告を行った。
8月15日大統領に就任した元カトリック司祭のフェルナンド・ルゴ大統領は、会場に詰めかけた市民団体および当時の反独裁闘争リーダーたちを前に、独裁政権の人権犯罪について国として正式に謝罪。涙で声を詰まらせる場面もあった。
1,000ページに及ぶ同報告書には、ストロエスネル政権および2003年まで14年間続いたいわゆる「民主過渡期」に行われた拷問、殺人、誘拐、迫害に関する2,130人の証言が含まれる。
報告書によれば、独裁の犠牲者は全体で128,076人。政治的理由により海外亡命を余儀なくされた人は3,470人に上る。また、政治犯の95パーセントは拷問を受け、その半数は死の恐怖を体験しているという。委員会のメディナ委員長は、加害者が恐怖を煽るため意図的に性的暴力を用いたことを忘れてはならないとしている。
人権活動家でオルタナティブ・ノーベル賞を受賞したマルティン・アルマダ氏は、独裁政権が「コンドル作戦」の名の下に行った残虐行為について振り返った。また、迫害の主要ターゲットの1人であったパラグアイ共産党のアナニアス・マイダナ党首は、ストロエスネル政権を支援した米国の責任を強調した。
ルゴ大統領は、委員会が提出した178の提案の実行を誓った。その中には、省と同格の国家人権事務局を設立し、人権虐待を行った者たちを法の裁きにつけることなどが盛り込まれている。これを目的に、人権・正義委員会は、虐待の首謀者、加担者の氏名列挙に1章を費やしている。氏名リストには今も政界、軍部、警察で活躍する者たちの名前も含まれる。
ルゴ大統領は、聴衆の「密告者」というヤジでスピーチを行うことができず壇上を後にした最高裁のニュフィエス判事に向かい、「今この時、司法システムは大いなる課題に直面している」との言葉を投げた。
パラグアイ新大統領による独裁政権時代の人権犯罪に対する謝罪とその実態を公表した「人権・正義委員会」最終報告の模様を報告する。 (原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan浅霧勝浩
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