ニュースアゼルバイジャンはウクライナへの支援を一貫して続けている

アゼルバイジャンはウクライナへの支援を一貫して続けている

【バクーAzVision=ヴァシフ・フセイノフ】

6月1日、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は、モルドバのキシナウで開催された欧州政治共同体第2回会合で、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。ウクライナがロシアの侵略と戦う中、南コーカサス地域の指導者の中でアリエフ大統領が唯一、ウクライナ大統領と会談したことは特別な政治的意義を持つものである。

両首脳は会談で、国際的に認められた国境内での自国の領土保全と主権を相互に支持することを表明した。両首脳がロシア語で話す方が慣れているにもかかわらず、会談であえて英語を使用したことは、非常に象徴的で興味深い点であった。

アゼルバイジャンとウクライナは、公式に互いを「戦略的パートナー」とみなし、国際的に承認された国境の領土保全と不可侵を一貫して支持してきた。ロシアによるウクライナ侵攻が始まる1カ月前、両国間の対立が激化する中、アリエフ大統領は、バルト三国を除く旧ソ連構成国の指導者の中で唯一キーウを訪問し、二国間協力の深化に関する多くの協定に署名、ウクライナの領土保全と主権の支持を表明した。

Image credit: Royal United Services Institute (RUSI)
Image credit: Royal United Services Institute (RUSI)

したがって、今回の両首脳の会談は、ロシア側からのあらゆる圧力にもかかわらず、アゼルバイジャンが一貫してウクライナを支援していることを示すものであった。アゼルバイジャン政府によると、本格的な戦争が始まって以来、アゼルバイジャン政府はウクライナに約2000万ユーロ相当の人道支援を行ってきた。アゼルバイジャンの国営エネルギー会社SOCARは、ウクライナのガソリンスタンドにおいて、ウクライナ国家緊急サービス(DSNS)が運営する救急車や車両向けに燃料を無料で提供している。SOCARのガソリンスタンドはウクライナ国内に50カ所以上あることから、これはDSNSにとって重要な支援となっている。

さらに、アゼルバイジャンはウクライナに対して、医療品や衣料品など様々な形で援助を行い、人道支援を拡大している。アゼルバイジャンは、電力不足で暖房が不足しているウクライナの地域に、変圧器45台、発電機50台を寄贈した。興味深いことに、ロシア外務省は、アゼルバイジャンによる変圧器と発電機の提供をウクライナへの軍事支援と見なし、「困惑」を表明した。

「アゼルバイジャン政府の措置は不可解である。ロシア連邦軍は、特別軍事作戦の一環として、ウクライナ政府が軍事利用している同国の重要インフラを破壊している。アゼルバイジャンの支援物資は、状況を根本的に変える可能性が低く人道支援には当たらない。」と、ロシア外務省の担当官は2022年12月に地元メディアに語っている。

しかし、こうした反応にアゼルバイジャンがウクライナ支援を止めることはなかった。最近も6月6日にカホフカ水力発電所のダム崩壊の影響を緩和するために、ポンプ、ボート、防護服、制服からなる人道支援をウクライナに提供して連帯の意志を示した。

6月1日の会談の中で、ゼレンスキー大統領は、ウクライナのインフラ再建のために提供されたアゼルバイジャンの支援について、アリエフ大統領に謝意を伝えた。「我々は、キーウ州のインフラ復旧に対する貴国の支援を感謝しています。ウクライナの更なる復興に向けた支援を希望しており、戦後は、貴国がウクライナへの投資プロジェクトに積極的に参加することを期待しています。」と語った。

アゼルバイジャンは、ウクライナへの人道的支援とともに、ロシアによる西側制裁の回避を支援しない旧ソ連圏における数少ない国の1つである。このようなアゼルバイジャン政府の姿勢は、ウクライナへの全体的な支援と一致しており、一部の旧ソ連諸国の姿勢とは対照的である。

例えば、最新の国際レポートでは、「アルメニアのロシアへの輸出は2022年に急増し、前年比187%という驚異的な成長率を記録した」と明らかにされている。しかも、その半分以上が第三国からの輸入品の再輸出であり、制裁回避のために欧米からの輸入品をロシアに振り向ける際にアルメニアが重要な役割を果たしているとの憶測に拍車をかけている。」これは、米国が同国を制裁回避の面で課題を抱える5カ国のうちの1つに挙げている理由として紹介されている。

Map of Azerbaijian
Map of Azerbaijian

この状況は、「アルメニアはロシアによるウクライナ戦争においてロシアの同盟国ではない」と西側諸国を説得しようとしているニコル・パシニャン首相の発言と矛盾している。アゼルバイジャンが現在の地政学的状況においてより独立した立場にあるのは、同国が豊富な天然資源を有し、地理的に、中東回廊と南北輸送回廊の両方に位置しているからだと説明する識者もいる。

しかしこの分析は、アゼルバイジャンのバランス外交と、ロシアの地域的野心に対する独立したスタンスが1990年代半ばまで遡るという事実を無視したものである。数十年前にロシアの軍事・経済ブロックに参加し、アゼルバイジャン領土の約2割を30年以上にわたって占領し続けるためにロシアの支援を受けたアルメニアとは対照的に、アゼルバイジャンはその外交政策をロシアのそれと一致させることはなく、クレムリンの主張と圧力にもかかわらずロシア主導の統合プロジェクトを回避してきた。

しかし、アゼルバイジャンのウクライナの領土保全と国際的に認められた国境内の主権に対する支持は、同国の広範な外交政策の原則を示すものである。隣国アルメニアによる侵略と民族浄化を経験したアゼルバイジャンは、ウクライナが今日直面している課題に対して明確な理解と共感を持っている。(原文へ

ヴァシフ・フセイノフは、バクーにある国際関係分析センター(AIRセンター)のシニアアドバイザー。

INPS Japan/AzVision

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