ニュースプーチンの新START "中断 "の決断は危険

プーチンの新START “中断 “の決断は危険

【トロントIDN=J.C.スレッシュ】

軍備管理協会(ACA)は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、米ロ間に唯一残る軍備管理・軍縮条約2010年新戦略兵器削減条約(新 START)の履行を停止する決定を下したことを強く批判した。

Daryl Kimball/ photo by Katsuhiro Asagiri
Daryl Kimball/ photo by Katsuhiro Asagiri

ダリル・G・キンボールACA事務局長は声明の中で、1年前のプーチン大統領による「年次教書演説」での発言について、「ロシアの違法なウクライナ侵攻を正当化しようとするとりとめのない試みだ。」と語った。

「プーチン大統領の発言は、ロシアが新STARTの立ち入り査察の再開に向けた協議に参加せず、条約の二国間協議委員会の会合にも参加せず、条約で求められている戦略核の備蓄に関するデータの共有もしないことを示唆している。」

キンボール事務局長は、「これらの行動は、新STARTの規約に大きく違反するもので許されない。他のロシア高官は以前、ロシアは条約で定められた主要制限値(配備済戦略核弾頭1550個と配備済み戦略運搬車700台)の下で維持すると述べていた。」と指摘した。

「今回の発表は、2026年2月5日に期限切れとなる新STARTの終了を意味するものではないが、新STARTの期限終了後、1972年以来初めて米ロの戦略核兵器を制限する合意がなくなる可能性がはるかに高くなった。」とキンボール事務局長は警告した。

実際、プーチン大統領による新STARTの「中断」は、ロシア自身の安全保障上の利益を損なっている。「条約条項の完全履行がなければ、ロシアは米国の戦略核兵器に関する見識や情報が得られなくなる。」

キンポール事務局長はさらに、「新STARTの中断は、核保有国に対して「早期の核軍拡競争の停止と核軍縮に関する効果的な措置について誠実に交渉を進める」ことを求めている1968年の核不拡散条約(NPT)の締約国としてのロシアの義務を損なうものである……。」と語った。

声明は以下のとおり続く:

President Biden speaks with the media at the conclusion of the U.S-Russia Summit in Geneva, June 2021. Image: U.S. Embassy Bern Switzerland / Flickr, Creative Commons
President Biden speaks with the media at the conclusion of the U.S-Russia Summit in Geneva, June 2021. Image: U.S. Embassy Bern Switzerland / Flickr, Creative Commons

「これに対し、ジョー・バイデン米大統領は、新STARTに代わる新たな核軍縮枠組みをロシアと迅速に交渉する用意があるが、ロシアはまず新STARTの査察を再開するために誠実に努力しなければならないと明言している。これは十分すぎるほど合理的な要求である。」

「もし新STARTが後継の取り決めなしに2026年に失効すれば、米露両国はそれぞれ、配備済みの戦略核弾頭の数を短期間のうちに倍増させるだろう。このような行動は、誰も勝つことのできない軍拡競争を生み出し、誰にとっても核兵器の危険性を増大させることになる。」

「我々は、バイデン政権が2月21日の発表した、米国が『世界や米露関係で起こっている他の出来事とは無関係に、いつでもロシアと戦略的軍備制限について話し合う用意がある。』とした発表を強く支持する。」

「我々はロシアに対し、新STARTの遵守を確認するための現地査察の義務を遵守し、米国とさらなる核軍縮外交を行うよう改めて要請する。」

ICAN
ICAN

「我々はまた、NPTのすべての締約国に対し、ロシアによるウクライナ戦争に対する立場に関わらず、新STARTを遵守し、米露2大核兵器保有国の間で新たな、理想的にはより低い制限値の交渉に合意することで核軍縮の責任を果たすよう、ロシアに働きかけるよう要請する。」(原文へ

INPS Japan

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|視点|プーチンのウクライナ侵攻と核不拡散体制(ダリル・キンボール軍備管理協会事務局長)

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