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Institutional Highlights|視点|桜とカリブルブル(カラバフ地域に咲く特有の花)

|視点|桜とカリブルブル(カラバフ地域に咲く特有の花)

【バクーAZVIsion=アイーダ・エイバズリ】

Map of Azerbaijian
Map of Azerbaijian

2020年9月27日に勃発した第二次ナゴルノ・カラバフ戦争でアゼルバイジャンは、約3000人の犠牲者を出した44日間に亘った戦闘と、ロシアや米国等による数度にわたる調停を経て、30年以上アルメニアの占領下にあったナゴルノ・カラバフ地域の約4割を回復した。(ただし、アゼルバイジャンにとって念願のアルメニア軍の撤退は実現したが、代わりに同地域にロシア軍の駐留を認めざるをえなかった。)

紛争が終わり、メディアが解放されたナゴルノ・カラバフ地域に入ると、家屋をはじめ歴史的な建造物から著名人の墓碑に至るまで、徹底的に破壊された旧占領地の惨状が世界に発信されるようになった。

1993年のアルメニア軍の軍事侵攻と占領後の破壊・略奪でゴーストタウンと化していたアグダムに入った著名な英ジャーナリスト トーマス・デワール記者は、破壊されたモスクのミナレット(尖塔)から見下ろしたアグダムの光景を「あの日は、春の空が晴れ渡った日で、ここから、100キロ北のコーカサス山脈の峻険な山並みをが見てとれた。しかし、私の視線は眼下に広がる小さな広島(徹底的に破壊されたアグダムの街)に釘付けになった。」と、著書「カラバフ: 戦争と平和の道を歩むアルメニアとアゼルバイジャン」で述べている。

The ruins of Agdam city photo by Azvision.az

この著名な英国人記者が荒廃したアグダムの街並みと原爆で荒廃した広島を比較したのは偶然ではない。後者は米軍が政治的に「リトル(ボーイ)」と名付けた核爆弾によって、前者は街に侵攻してきたアルメニア軍によって、無辜の市民が多数虐殺されたという点で共通点がある。

The ruins of Agdam city photo by Azvision.az

日本政府は戦後、1960年代初頭までには広島市の再建を成し遂げ、爆心地付近は12ヘクタールの広大な地域を平和記念資料館や平和の鐘など様々の施設を備えた平和記念公園に整備した。広島原爆の惨禍を経験した人々は、カラバフ戦争で私たちが経験した痛みや今日直面している問題をより理解していただけるのではないだろうか。

今日、アゼルバイジャンは友好諸国の支援を得て、新たに回復した地域の再建に乗り出している。新たに奪還したカラバフ地域の空の玄関口としてフュズリ(首都バクーから西に300キロ)には、早くもトルコの支援を得て国際空港が開港し、ザンギラン市の元住民は30年越しの念願が叶って故郷に戻り始めている。古都シュシャは古来音楽の都としても知られており、再び国際音楽コンクールを開催している。蘇ったシュシャの街は、こうした活動を通じて、再び平和・自由・友好を象徴する音楽の都として存在感を拡げていくだろう。

またアゼルバイジャンは、現代世界を繋げて2500年の歴史を有する大シルクロードを復活させるべく、ザンゲズール回廊(ナゴルノ・カラバフ地域とアゼルバイジャンの飛地であるナヒチェバン知事共和国を繋ぐ回廊)の建設に乗り出している。また、新たに解放した地域に平和と安定をもたらすために、友好諸国の支援を得て、道路建設と並行して、30年に亘った占領中に破壊された家屋や学校、様々なモニュメントも再建している。

Khari-Bulibul photo by Azvision.az
Khari-Bulibul photo by Azvision.az

ナゴルノ・カラバフの解放地域の復興状況には、日本企業が積極的に関与している。例えば、グリーン・エネルギー・ゾーンを構築すべく、日本企業が作成した行動計画(2022~2026 年)が承認され、日本企業の有する先進的技術、ノウハウ等の活用が期待されている他、日本企業は開放地域地位における地雷除去活動にも深く関与している。地雷が除去された地域から随時エコシステムを復活させ、グリーンゾーンを構築していくのである。

私たちは、開放地域の復興のためのシュシャを訪れる日本人に、アゼルバイジャンの自由・愛・勝利の象徴であり、この山岳地帯で4月上旬に開花するカリ・ブリブリの花を見せている。この花と日本の桜が似ているように、アゼル人と日本人の愛や夢も互いに共通するものを感じる。私は、いつの日か、日本の桜の花が、開放されたシュシャやカンゲンディ、コジャリといった地でも花を咲かせてほしいと願っている。(原文へ

INPS Japan

この記事の著者は2022年9月にカザフスタンのアスタナで開催された第7回世界伝統宗教指導者会議を共に取材したアゼルバイジャンの記者。アゼルバイジャンの国営テレビで本記事の掲載やINPS Japanとのコラボについて話してくれた。

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