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|米国|対テロ戦争、東に移動

【ワシントンIPS=ジム・ローブ】

米国防総省(ペンタゴン)は1月15日、アフガニスタンへ海兵隊約3,200人を投入する旨発表した。3か月以内に実施される同増兵により、アフガニスタン駐留米兵はこれまで最高の3万人レベルとなる。 

イラク駐留16万の兵士と比べると遙かに少ないが、同決定は、米・NATO軍がパシュトゥーン人民兵を中心とする反乱勢力を抑えられていないことの証である。増兵発表の前日にも、自爆テロ犯がカブールの高級ホテルに忍び込み、米国市民およびノルウェー大統領アフガン訪問の取材に当たっていたノルウェー人ジャーナリストを含む数人を爆死させる事件が起こっている。 

しかし、米政府の心配はアフガニスタンだけではない。ブット元首相の暗殺で政治不安が高まる隣国パキスタンでも最近、アルカイダと密接な関係にあるパキスタン・タリバンのバイトゥラ・メフスードの指揮の下、原理主義者とパシュトゥーン人民兵が行動を共にしている。

 ゲイツ国防長官は先月、「アルカイダは今やパキスタンにその顔を向け、同国の政府および人民を攻撃している」と語り、パキスタンが世界で最も危険な場所との見解が外交議論の主流になっている。 

ブット暗殺およびムシャラフ大統領の国内での不人気により、15億ドルに上る対パキスタン軍事援助への付帯条件議論が始まった。ペンタゴンは12月31日、ロッキード・マーチンのF-16型戦闘機18機をパキスタンに提供する旨発表し批判を呼んだ。上院外交委員会のバイデン委員長は、「この微妙な時に5億ドルに上る最新鋭戦闘機をパキスタンに提供するとは」と語っている。 

バイデン議員を始めとするグループは、政治改革を軍事援助の条件とするよう主張しているが、他のグループは、パキスタン政府は、過去5年に亘る110億ドルの援助をテロ対策ではなくインドを牽制するための通常武器購入に使用したと批判している。 

パキスタン・タリバンの勢力拡大およびパキスタン軍の戦闘能力不足を理由に、米政策担当官はCIAと特殊部隊(SOF)の越境攻撃を議論してきた。しかし、この様な行動は大衆の反発を招くこと必至である。米政府は現在、軍事支援の一部をパキスタン軍の訓練や国境地域の開発(5年間で7億5千万ドル)に充てることを検討している。 

しかし、ランド・コーポレーションの地域専門家クリスティーン・フェアー氏は、「過激派の地域支配は既に悪化している。同計画は4年前に開始すべきであった」と語っている。米国のアフガニスタン増兵とパキスタン政策について報告する。(原文へ) 

翻訳/サマリー=IPS Japan 浅霧勝浩 


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