【ブリュッセルIPS=デビッド・クローニン】
EU高官の内部文書によると、EU各国の政府は米国の拷問と誘拐の秘密計画に結託し、人権を推進するEUの活動を台無しにしている。2001年にEUは、「拷問に対する戦いの実践」として、他国の抑留者に対する不当な扱いをめぐる懸念の表明についてガイドラインを承認していた。
ガイドラインの適用に関する新たなEU評価は、米国のCIAによる特例拘置引き渡しにかかわるEU加盟国のダブルスタンダードに対し非難があることを認めた。この内部文書は、IPSが確認したところによると、「EUの信頼性を強化」するよう特に推奨し、人権に対する「十分な尊重」を保証すべきとしている。
英国を始め、ドイツ、スウェーデン、ポルトガル、アイルランド、イタリアはCIAの秘密工作に協力したことが非難されており、ポーランドとルーマニアは両国におけるCIAの収容所の存在について情報を提供しないと欧州委員会(EC)から批判されている。
欧州議会の調査委員会が作成した2007年報告書によると、2001~5年の間にCIAの航空機が少なくとも1,245回、欧州を通過、あるいは着陸している。調査委員の1人で英国労働党の政治家であるクロード・モラエス氏は、「EUとCIAの共謀ということでは信頼性が崩壊する」という。
CIAの活動を調査しているレプリーブのC.デイビーズ氏は、「人権擁護者としてのEUの名声が失墜しつつある」という。さらに、拷問あるいは死刑の道具の輸出を禁ずる法規が破られているとアムネスティ・インターナショナルに抜け穴を指摘され、英国政府はEUと協力して対策に乗り出した。EUの人権に対するダブルスタンダードについて報告する。(原文へ)
INPS Japan浅霧勝浩
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