【ニューヨークIPS=キャサリン・スタップ】
「現在のインティファーダが2000年に始まって以来、イスラエル兵士が殺害した戦闘に参加していないパレスチナ人民間人の数は1日平均1名を越える(1600人以上の犠牲者の内、少なくとも500人は子供)。
しかし捜査が行なわれた事例はほんの一部にすぎない。」人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は6月22日、「免責の文化を醸成する(=Promoting Impunity):犯罪行為を調査できないイスラエル軍」と題した報告書を発表し、多くのパレスチナ民間人がイスラエル軍兵士によって殺害され、真相が闇に葬られる中、一部兵士の間にも民間人を殺しても裁かれないというモラルハザードが広がりつつある現状を警告した。
一方、イスラエル軍当局は、「軍律に違反した行為は全て徹底的な捜査の対象となっている」として報告書の内容を否定している(しかし、2004年5月現在、軍当局が武器の非合法な使用に関連して審議した事件は74件で民間人殺害件数の5%に満たない)。2004年10月5日に、13歳の民間人少女を指揮官の命令でイスラエル兵士達が射殺した事件では、軍当局の当初の捜査では「指揮官に、倫理に反した行動はなかった」と無罪裁定が下ったが、この事件に疑問をもったイスラエル軍の同僚兵士が事件当時の通信記録を提出し、指揮官が明確に「民間人の少女」であることを部下から報告を受けながら「この区域内で動く者は、たとえ3歳の子供であろうと殺さなければならない」と発言して至近距離で少女を射殺させたことが明らかとなり、現在再審理が行なわれている。HRWの概要とイスラエル軍の捜査体制の問題点を報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan