地域アフリカロシアと中国がアフリカで協力関係を構築、米国は遅れをとる

ロシアと中国がアフリカで協力関係を構築、米国は遅れをとる

【ニューヨークIDN=リサ・ヴィヴェス】

アフリカの多くの国々でジハード主義者が市民や国の安全保障に脅威を与えているなか、新たな「アフリカ争奪戦(Scramble for Africa)」に参入してきたロシアと中国は、大陸各地で積極的に取引や融資、友好関係や同盟構築を進めている。

アフリカ争奪戦」とは、「アフリカ分割」や「アフリカ征服」とも呼ばれ、本来の意味は、1881年代から第一次世界大戦前の1914までの比較的短期間に、欧州の帝国主義列強7ヵ国がアフリカ大陸の大部分を侵略、併合、分割、植民地化した過程をさす用語である。

Caricature of Cecil John Rhodes, after he announced plans for a telegraph line and railroad from Cape Town to Cairo.
Caricature of Cecil John Rhodes, after he announced plans for a telegraph line and railroad from Cape Town to Cairo.

1870年時点で欧州列強の支配下にあったのはアフリカ大陸の10%だったが、1914年には90%近くまで拡大し、エチオピア(アビシニア)とリベリアだけが独立を保っていたが、エチオピアはその後1936年にイタリアに侵略され、占領されている。

その後、冷戦が始まり、共産主義者と反共産主義者が資源豊かなアフリカ大陸で影響力を争うようになった。ソ連に味方する国もあれば、米国に味方する国もあった。

アフリカを、固有の価値が備わった大陸としてではなく、超大国間の対立の場として扱かったため、米国の地域政策を歪めることになった。このことは、ある意味で現在も続いている。

新たな競争相手である中国は、鉱物資源の権利を確保するためにインフラ整備に何十億ドルも費やし、ロシアは政府と提携した傭兵を通じて安全保障を提供している。

「自由民主主義国家としてこの競争から手を引けば、他国が政治的空白を埋めることになるのは目に見えている。」と、ドイツ緑の党の党首で初の女性外相となったアナレーナ・ベアボック氏は、ロシアによる軍事侵攻が始まる数日前に欧米の外交官たちがウクライナ危機について集まっているときに語っている。

ワールド・ポリティクス・レビューのスティーブン・メッツは、「残念ながら、過去について知っていても、それを繰り返さないとは限らない。アフリカでは、再び外部勢力による競争が始まる兆しがある。もしそうなれば、今回もアフリカ大陸にとって悪い結果になるかもしれない。」と書いている。

ロシアがアフリカ大陸に進出しているのは、スーダン、マリ、中央アフリカ共和国、南アフリカ共和国などだ。先月、スーダンのモハメド・ハムダン・ダガロ将軍は、ロシアのウクライナ侵攻の前夜にモスクワで政府当局者と会談し、経済を中心とした新たな同盟関係について議論した。

帰国後、ダゴロ将軍は、紅海のポート・スーダンにロシアが念願の海軍基地を建設することを認めることに前向きであることを発表した。

Photo: Russian military expands in Africa by building bases in Africa. Credit: Russian Ministry of Defence.
Photo: Russian military expands in Africa by building bases in Africa. Credit: Russian Ministry of Defence.

12月には、ロシアの民間軍事企業「ワグネル・グループ」がマリ政府と月1000万ドルの警備契約を結んだとの報道に、欧米諸国が警戒感を表明した。観測筋は、フランス主導で数年間に亘って実施されてきた対過激派作戦の成果があがらず、地元で高まる不満をワグネル社が利用したとみている。地元は、ロシアの戦闘員により良い結果を期待しているという。

1月にマリの首都バマコにロシアの代表団が到着した際、詰めかけた群衆の一人が叫んだという。「ロシア万歳!」「マリ国民万歳!」

ワグネル・グループは、中央アフリカ共和国(CAR)のフォースタン=アルシャンジュ・トゥアデラ大統領を支援し、最近の政府の前進にもかかわらず、国内の多くの地域を依然として支配している反政府勢力との戦いにも協力している。2016年から政権を担っているトゥアデラは、フランス軍と国連軍の存在にもかかわらず、反政府勢力の撃退に苦戦していた。彼は、ロシアの傭兵の方が成功していると考えている。

国連の専門家は、ロシアがCARに派遣した教官は、ワグネルが活動しているシリアやリビアからの新兵を含め、2000人以上いる可能性があるとみている。

Image credit: Royal United Services Institute (RUSI)
Image credit: Royal United Services Institute (RUSI)

南アフリカでは、シリル・ラマポーザ大統領が、プーチン大統領と会談した後、ロシアとウクライナの和平調停に協力するよう要請されたと述べている。しかし、南アフリカとロシアとの結びつきが、中立性に影響を与えるのではないかと疑問視するアナリストもいる。最近国連特別総会で、隣国ウクライナへの軍事侵攻を巡るロシアへの譴責決議が行われた際、南アフリカは投票を棄権している。

ラマポーザ大統領によれば、「国連決議は有意義な関与を約束するものではなかった。政治的対話による平和的解決の呼びかけは、最終文の結末に近い一文に追いやられていた。」と述べた。しかし、南ア最大野党である民主同盟によると、ラマポーザ大統領は、与党アフリカ民族会議(ANC)に750万ランド(約50万米ドル)を寄付しているロシアのオリガルヒ、ヴィクター・ベクセルベルグの影響を受けている可能性があるという。(原文へ) FBポスト

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