以下は今年の「核実験に反対する国際デー(8月29日)」に合わせて中央アジアのカザフスタン共和国で開催された「核兵器の人道的影響と中央アジア非核兵器地帯」地域会議(同国外務省、赤十字国際委員会、同国NGOの国際安全保障政策センター、核兵器廃絶国際キャンペーンと創価学会インタナショナルが共催)の開会式で共催団体を代表して行ったスピーチ内容である。
【アスタナINPS Japan=寺崎広嗣】
尊敬する皆様、おはようございます。創価学会インターナショナル(SGI)の寺崎広嗣と申します。本日、アスタナにおけるこの重要な会議に参加させて頂き光栄に存じています。カザフスタンのウマロフ第一外務副大臣、ICRCのミロセビック代表をはじめ、各国外交団の皆様、共催団体の皆様に心より感謝申し上げます。
創価学会という日本語は、価値創造の団体という意味です。私達は仏法が説く生命の尊厳観を基調に、啓発活動、草の根活動、国連でのアドボカシー活動を通じて平和の文化を推進していますが、特に、核兵器のない世界を目指す取り組みは、戦後一貫した主要な活動であります。中央アジアにおいては、キリギス、タジキスタン、ウズベキスタン各国とは、これまで文化・教育を通した交流を重ねてまいりました。今日の会議を通して、5ヵ国すべての皆様との対話が一段と広がりいくことを願っています。
先月ウィーンで行われた第11回NPT再検討会議に向けた第1回準備委員会では、在ウィーン国際機関カザフスタン政府代表部、ならびに国際安全保障政策センターとともに、核実験の人道的影響をテーマにサイドイベントを開催させていただきました。会場には50名を超える方々にお越しいただき、この問題における関心の高さがうかがえました。
サイドイベントでは、本日もご講演を頂くドミトリー・ベセロフ氏にご自身の核実験被害についてお話頂きました。核兵器が長期にわたり、どれほど甚大な被害をもたらすのか、会場に集った多くの参加者とともに息をのむような思いでお話を伺いました。核兵器の問題を政治的、抽象的な議論で終始していては、その本質が見えなくなります。被爆また核実験被害等の実相を常に忘れることなく、人類の平和にとって、無差別に大量の殺戮・破壊を行う核兵器が本当に必要なものなのか、と問い続けなければなりません。結論は出ているのです。TPNWもNPTも「核兵器のない世界をめざす」という目標は共有されているのです。その意味で、私達は今後とも一貫して市民社会の立場で軍縮教育の取り組みを世界に広げていきたいと考えています。
核兵器を「非人道的兵器」として、その開発、保有、使用あるいは使用の威嚇を含むあらゆる活動を例外なく禁止したのが核兵器禁止条約です。「核兵器禁止条約の条文は、言い換えるならば地球全体を非核兵器地帯とする内容が規定されている」と言えます。その意味では、中央アジア非核地帯条約が批准されている中央アジアは核兵器禁止条約の理念をすでに実行されていると言えます。
本日の会議では、各国の代表の皆様と中央アジア地域の課題や現状について率直に話し合い、核軍縮また核兵器の非人道性について議論を深めていきたい。そして、核兵器禁止条約の持つ重要な価値について共有できることを強く願っております。核兵器の使用リスクが高まる中、世界を核軍縮、核廃絶の方向へ転換させるべく、有意義な議論を重ねて参りたいと存じます。(英文へ)
有り難うございました。
INPS Japan
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