【アブダビWAM】
「支援物資を積んで平和裏にパレスチナのガザに向かっていた自由船団を急襲したイスラエルの行為は人道に対する罪にあたるものである。」とアラブ首長国連邦(UAE)の日刊紙が報じた。
「イスラエル特殊部隊が公海上を航行中の自由船団を補足した際、少なくとも19名の死者と数十名の重軽傷者をだした。これは政府が主導した明らかなテロ・海賊行為であり、特殊部隊は船を占拠した上で、乗員・乗客を拘束した。」と、ドバイに本拠を置く英字日刊紙『ガルフ・ニュース』が6月1日付の論説で報じた。
「イスラエルはトルコ政府から非武装の認証を受けていた民間船舶を攻撃した。襲撃を受けた船はトルコの国旗を掲げて公海上を航行しており、今回のイスラエルの行為は明らかな戦争行為である。これに対してトルコ政府はイスラエルの行為は両国関係を『修復不能な』ものとするだろうと言明した。全ての常識ある国々は、イスラエルに対してこのような恥ずべき残虐行為は全く受け入れられないとの意思表示をすべきである。ベンヤミン・ネタニヤフ政権は、中東和平を一方的に拒絶している今日の政策は、中東全域はもとより、パレスチナ、イスラエル双方にとって破局的なものであることを理解させなければならない。」と同紙は報じた。
「ガザ市民に対する封鎖は解除されるべきであり、市民は平和な通常の生活を取り戻すべく復興に取りかかる自由を回復すべきである。自由船団の試みは、700人を超える平和活動家が乗船し、困窮を極めているガザ市民が必要としている食料と軍事に関わりのない支援物資を届けようとした勇敢な行為であった。」
これに対して、イスラエルは自由船団からの通信を遮断し完全なメディア封鎖を敢行した。従って、乗船していた人々の生死やけが人情報も不明のままである。全ての関係者がイスラエルの施設に拘留されている。『ガルフ・ニュース』は、特派員の安全に対する責任はイスラエル政府にあることを確認するものである。
「米国のバラク・オバマ大統領は、イスラエルのこの卑しむべき行為に対して迅速な対応策を打つべきである。また、国際社会はネタニヤフ政権に対して、この目的なき殺戮は全く受け入れられないということを明確に伝えるべきである。」
ネタニヤフ政権は和平や正義に対して無視する姿勢を繰り返し示してきた。それは同政権が、ヨルダン川西岸地域(ウエストバンク)に非合法にユダヤ人入植地を拡大し、政権の不安定化を狙ってレバノンを攻撃し、国連の中東非核化構想を軽蔑した態度であしらい、中東和平交渉開始へのパレスチナ人の希望を打ち砕いた諸政策によく表れている。
「自由船団はガザに到達することは出来なかったが、今回の試みは、ガザの人々に、彼らの苦悩を深く心に共有しそれを行動に移した多くの人々がいることを深く印象付けた。つぎはアラブ諸国がその先例に続くべきだ。」とガルフ・ニュースは結論付けた。(原文へ)
翻訳=IPS Japan戸田千鶴
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