【イリンガ(タンザニア)IPS=サラ・マクレガー】
タンザニアに2003年設立されたNPO法人ネーマ工芸は、障害者は肉体的、知的に厳しくても仕事をしながら人生を精一杯生きることが出来るという信念の下で運営している。出来ることもなく通りで過ごす障害者を雇用し、仕事を実地訓練し、消費者が本当に欲しい物を生産し、施しとしてではなく購入してもらうのを目指す。
製作製品は、ゾウの糞から作った紙や贈答用のカード、ビーズアクセサリー、色彩豊かなハンモック、スカーフ、クッションカバー、絞り染めの服、クリスマスの飾り、ランプシェード、キルト、パッチワーク、その他の珍しい品物だ。旅行者、ボランティア、地元の宗教団体職員に人気で、インターネット経由(http://www.neemacrafts.com/)でも注文を受け、英国、米国、ドイツの小さなフェアトレードショップの店頭に並んでいる。
併設する聴覚障害者運営のカフェでは、客は注文する時、紙に書いたりメニューにある手話を使ったりする。何か必要がある時にはテーブルにあるスイッチを押してライトを点滅させる。
ネーマ工芸の運営、維持費は売上収益と寄付でまかなわれる。
タンザニアで障害者は、教育も就業の機会も与えられず、貧困の中にとどまらざるを得ないので、社会では貧しい家族の重荷とみなされている。タンザニアでは人口4千万人の3分の1が1日1ドル以下で暮らし、80%が自給自足で、手足が不自由な障害者は肉体労働の畑仕事を手伝えないからだ。
ネーマ工芸の運営を手伝う英国人スージー・ハート氏は、次のように言う。
「ネーマ工芸があるイリンガ州はタンザニアの最貧地域で、貧困ゆえに子供達が障害を持って生まれてくる。ここでは女性も重労働を担っており、妊娠してから出産まで重い水を運ばなければならず、お腹の子に悪影響を与えている。妊娠中の栄養不足や、出産に対する不十分なケア(出産時、胎児の酸素不足が多発)、未然に防げない脳マラリアなどもある」
また、東アフリカの障害者は、のろわれているという烙印を押され、社会からの疎外にも苦しむ。そして、リハビリ施設もほとんどなく、どこへ行くにも道路も建築物も障害者に全く考慮されて造られていない。
ネーマ工芸では、働き始めて自尊心を取戻し、仕事を楽しむ60人の作業者に人員を追加したいと考えている。しかし、その前に賃金を支払うため、新しく製品を売る市場を見つけねばならないとハート氏は言う。今年に入って、働きたいと言う人を1週間に9人も断らねばならないという最もつらい仕事をしたからだ。
障害者に職と生きがいを提供するタンザニアのネーマ工芸について報告する。(原文へ)
翻訳/サマリー=INPS Japan 浅霧勝浩