【アブダビIPS=特派員】
アラブ首長国連邦(人口約430万人)では、20世紀の産油ブームで、それまでの伝統的な社会・経済構造の変革が迫られて以来、圧倒的な人口、人材不足を背景に、伝統的に外国人(賃金の高い順に〈1〉白人〈2〉アラブ人〈3〉アジア人の3層で構成)がUAE民間セクターの仕事を独占する状況が続いてきた(地元労働者が占める割合は平均0.5~1.0で推移している)。
しかしその後、国内人口も増加し、UAE国籍の失業者数が40,000人に達したほか、地元出身者が就職において(外国人労働者と比較して)差別されているとの不満が国民からあがるに及び、UAE政府も、民間企業に対してある一定の職員割合をUAE出身者に確保する方策(Emiratisation)や、職業訓練校の設立、「Careers UAE fair」を通じた民間企業とのマッチング活動など、積極的な対策を講じている。しかし一方で、UAE出身の就職希望者の44%が高卒程度、22%が大学卒業程度という中で、労働市場の構造変革を変えていく作業は今後も多くの困難が予想される。
アラブ首長国連邦における地元出身労働者の就職問題について報告する。
翻訳=IPS Japan