ニュース|中東|「パレスチナ人の強制退去を止めるべき」とUAE紙

|中東|「パレスチナ人の強制退去を止めるべき」とUAE紙

【シャリジャWAM】


「イスラエルはこれまでも中東和平交渉を頓挫させるための策略を巡らしてきた長い歴史がある。米国のジョン・ケリー国務長官が今月2週連続してイスラエル入りする中、中東和平交渉を巡ってイスラエル政府が新たにどのような難題を持ち出してくるのか、そして米国がどのように交渉を前進させられるのかについて再び懸念の声が上がっている。」とアラブ首長国連邦(UAE)の英字日刊紙が13日付の論説の中で報じた。

「国際社会がイスラエルの策略を注視しているのは喜ばしいことだ。国連人道問題調整官(占領下パレスチナ担当)のジェイムス・ローリー氏は、ヨルダン渓谷のパレスチナ人所有の建物(30棟)を破壊し住民を強制退去させたイスラエル政府の措置を非難した。この措置によって24人の子どもを含む41人のパレスチナ人が住居を追われた。しかも破壊された建物の中には援助機関によって建てられたものが多数含まれていたほか、犠牲者の中には今月になって2度目の強制退去に遭遇した者もいた。」とガルフ・ニュース紙が12月13日付論説の中で報じた。


「国連当局によると、2013年の年初以来、ヨルダン川西岸地区(ウエストバンク)の60%を占めるエリアC(行政権・治安権ともにイスラエルが掌握)と東エルサレム地区で630棟におよぶパレスチナ人所有の建物が取り壊され、526人の子どもを含む1035人のパレスチナ人が強制退去させられた。破壊された建物の約7割がヨルダン渓谷のパレスチナ人コミュニティーを対象としたものだった。」


パレスチナ解放機構高官のヤーセル・アベド・ラボ氏は、ラジオ局『パレスチナの声』の取材に対して、ネタニヤフ政権に対して融和策をとるケリー国務長官は、イスラエル政府が主張する安全保障措置にかこつけたヨルダン渓谷におけるイスラエル勢力の拡張要求に応じたことで、『中東和平交渉を危機的な状況に陥らせてしまった。』と語った。」

「国連総会は2014年を「パレスチナとの国際団結年」とする決議を圧倒的多数の賛成(賛成110、反対7、棄権56)で採択した。この動きはパレスチナ人にとって慰めとはなるが、国際社会にはイスラエルの動きを抑制する一層の努力が求められている。国連は1977年以来、11月29日を『パレスチナとの団結デー』として記念してきたが、1年を通じてパレスチナ人の苦境に焦点をあてる国際年の制定を決議したのは初めてのことである。」

「繰り返されるイスラエル政府による建物破壊措置により、多くのパレスチナ人が強制退去させられ土地や財産を失っている。立ち退きを強要され生活基盤を失った人々は、気候がますます厳しくなっている中で、住むあてもなく過酷な生活を強いられている。このような措置は国際法に反するものであり、イスラエル政府は一刻も早く破壊行為を止めるべきである。」とガルフ・トゥデイ紙は結論付けた。(原文へ

翻訳=IPS Japan

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