【国連IPS=タリフ・ディーン】
英国の人権調査団体「グローバル・ウィットネス」は、内戦への国際社会の対応を論じた報告書を発表した。それによれば、この60年間の内戦のうち少なくとも40%が、ダイヤモンドや金、木材、石油、ガス、ココアなどの天然資源をめぐって争われたものか、それらの収入によって経済的に支えられていたものだという。
しかしながら、国連加盟国、とくに安全保障理事会の常任理事国は、自国の国益を優先する立場から、国連による制裁決議などの実行にあまり熱心でなかった。
アフリカの「世界戦争」とも称されるコンゴ民主共和国での内戦はまさにその典型例だ。英国のような国々は、内戦に関与する自国企業の制裁に不熱心であったり、ルワンダのような当該地域の同盟国に制裁を加えることに消極的であった。なぜなら、鉱物資源等の取引によってえる利益は莫大なものだからだ。
今世紀に入ってからも、安保理は、シエラレオネ、リベリア、コートジボワールなどで起こった資源がらみの内戦を、対処することなく眺めている。
また、2007年1月には、ロシアと中国がビルマ制裁決議に拒否権を発動した。2008年7月には、同じくロシアと中国が、ジンバブエへの武器禁輸や同国のロバート・ムガベ大統領の渡航禁止などの制裁にやはり反対した。米・英・仏も、イスラエルによる人権侵害と戦争犯罪に対してきわめて寛容な態度を取っている。
グローバル・ウィットネスの調査は、国連に対して、資源によって資金を自己調達するような内戦への対処に関してハイレベル調査委員会を設置するよう求めている。
内戦への対処をめぐるNGOの報告書について伝える。(原文へ)
翻訳/サマリー=IPS Japan
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